殴るぞ

色々と思いっきり話します。

ボクシング

亀田への一連の処分。日本ボクシングへの怒りと悲しみ。

亀田和毅のライセンス復帰がいよいよ現実味を帯びてきた。そもそも亀田三兄弟は、周囲から見られている以上に潔白であったにもかかわらず、何よりも日本のボクシングを統括する組織である、日本ボクシングコミッション(以下、JBC)が定めた悪法をしっかりと…

井上尚弥「初心忘れるべからず」

ローマン・ゴンサレス対マックウィリアムズ・アローヨとの対決を見た次の夜。地上波で行われていたのは井上尚弥の試合だった。「チョコラティート」らしからぬ野性味を感じないボクシングを見て、果たして井上の勝算はと思ってテレビを付けた。そこには驚愕…

【追悼】モハメド・アリ「アウトレイジ」

私の大叔父にトクおじさんと呼ばれた人がいる。もう亡くなって10年近くなるが、彼は反戦運動家だった。「アメリカはベトナムから手を引け」というゼッケンを付けて、1965年4月5日から1973年6月13日まで。彼はゼッケンをつけ続けたのだ。酔った勢いで宣言して…

【戦評】サウル・アルバレスvsアミール・カーン「rugir」

まるですべてをなぎ倒すかのような一撃だった。それまでリードしていた(と思われる)アミール・カーンがカネロの右ストレートを真正面から受けてしまった結果、衝撃的な結末へと流れ込むことになってしまったからだ。エリスメンディ・ララ戦など、サウル・…

サウル・アルバレス-アミール・カーン【戦前】「ゴロフキンへの挑戦状・その2」

ひとつ言っておくなら、当ブログのタイトル「黒髪のかねろ」は今回紹介するサウル・アルバレスの愛称、カネロから来ているということを明記しておきたい。赤毛が特徴的だったの彼はスペイン語で「シナモン」を意味するこの愛称を13歳から付け、そしてメキシ…

ローマン・ゴンサレス、ゲンナジー・ゴロフキン「ナンバーワン野郎たちの共演」

パウンド・フォー・パウンド。それは階級を飛び越えて「誰が強いのか?」を指し示す指標となっているもの。かつてその王座に君臨していたのは、フロイド・メイウェザー・ジュニアとマニー・パッキャオ。しかし、両者が第一線を退いた現在はその順位そのもの…

マニー・パッキャオ「Goodbye Days」

ティモシー・ブラッドリーの体がゴロンと転がるようにダウンした瞬間だった。私はパックマンの勝利を信じて疑わず、そのフィナーレは世界中から祝福されたものになるであろうという確信に満ちていた。かつて疑惑の判定も含めて因縁深い、「デザートストーム…

スポーツとエンタメのあいだ

2015年という1年もあと残すところ30時間を切ってきた訳だが、この1年を振り返るだけでもなかなか体験できないものを色々と味わうことができたのではないかなと思う。 良かったことや悪かったこと。思い出したくもないこと。10人いればそれぞれが感覚として違…

三浦隆司「上がる評価と残る不安」

人生には三つの坂があるらしい。結婚式でよく使われるフレーズだろう。上り坂と下り坂、そして「まさか」。 三浦隆司の王座陥落は本当にまさか、であった。相手が指名王者のフランシスコ・バルガスで、バルガス有利と言われていたのは間違いない。しかし、試…

ミゲール・コットvsサウル・アルバレス「ゴロフキンへの挑戦状」

きらびやかなラスベガスのネオンの夜に、次世代のスターを決める戦いが行われる。ミゲール・コット対サウル・アルバレス。世界4階級王者のコットは、マニー・パッキャオやフロイド・メイウェザー・ジュニアと激戦を繰り広げられたことでも知られる。 カネロ…

エドウィン・バレロ「孤独」

いなくなってから分かる偉大さと言うのは結構ある。例えば、マイケル・ジャクソン。世界一のエンターテイナーは生前から偉大ではあったが、やはり死後に彼を超えるポップスターをぼくは見たことが無い。ショービジネスに生きた男がこの世を去ったのは2009年…

村田諒太が世界王者になれない3つの理由

日本で一番、世界王者になると期待されている男がいる。ロンドン五輪のボクシングミドル級金メダリスト、村田諒太である。中重量級が多くひしめく中で、多くのボクシングファンが彼の世界王者戴冠を夢見ていることだろう。 しかし、今の彼では世界王者になる…

ぼくが山中慎介のボクシングにエキサイトしない理由

相手の良さを封じ込め、切れ味鋭く破壊力のあるストレートで相手を打ち抜く。相手はダウンし、やがてゴングがなる。山中慎介のいつもの防衛戦の光景だ。かつて日本にいた亀田とは違い、エキサイティングできびきびとした緊張感すら漂う世界戦。のはずなのだ…

ボクシングを楽しく見る方法 ~フロイド・メイウェザー・ジュニア vs マニー・パッキャオ 編~

さて、極上のビッグマッチが終わり、様々な評価が飛んでいる。特に悪い評価がだ。「面白くない」、「素人向きではない」。ロンドン五輪金メダルの村田諒太は「メイウェザーだから許される試合」と評し、115-113という独自の採点も見せてメイウェザーの試合を…

フロイド・メイウェザー・ジュニア vs マニー・パッキャオ ~ヴィンテージ~

ヒリヒリする様な、際どい攻防の末に。3人のジャッジはメイウェザーを支持していた。ぼくの採点は116-112でメイウェザー支持。その濃密な攻防は10ポイントマストシステムでは決して評価されるべきものではない、感動的で絶妙な駆け引きがそこにはあった。 特…

レイムンド・ベルトランのウェイトオーバーと粟生隆寛の命の軽視への怒り

実は、フロイド・メイウェザー・ジュニアvsマニー・パッキャオとの一戦を前にして、日本人選手が世界タイトルをかけた決戦に挑んでいた。粟生隆寛である。長谷川穂積の弟分にして、おそらくはもっとも才能あふれる天才肌のボクサーだ。カウンターのタイミン…

メイウェザーvsパッキャオ Pacman(4)~キッズ・リターン~

全てを賭けて臨んだはずのマルケス戦。その代償は余りにも大きかった。ボクシングにおいて、それはよくある話だ。たった一度の負けが、人生を大きく狂わせる。オスカー・デ・ラ・ホーヤと戦ったアイク・クォーティ然り、オルランド・サリドに敗れたファンマ…

メイウェザーvsパッキャオ Money(4)~Box God~

TBEとは、Moneyが新たに自称し始めたリングネームである。47連勝を達成し、その強さはまさにThe Best of Everと呼ぶにふさわしい名前とも言える。カネロの愛称でも知られるサウル・アルバレスでさえも、まるで歯が立たずに大差の2-0で退けたのだから。もはや…

メイウェザーvsパッキャオ Pacman(3)~鉄槌~

誰もがその判定に首をかしげ、怒りに狂ったことだろう。ティモシー・ブラッドリー戦での一幕だ。リアルタイムで見ていたぼくの判定は118-110でPacman優勢。明らかに彼の強打がブラッドリーを上回っていた場面が多く見られた試合だったのだ。とはいえ、彼は衰…

メイウェザーvsパッキャオ Money(3)~Recovery~

なぜ、Moneyは急にリングを去るようなことをしたのだろう。自分を認めてくれないフラストレーションと、前回で記述した。もう一つあると思われること。多くのアスリートが通ってきた問題が根底にあったのだ。それが「負傷」である。全身のケアを怠ることがで…

メイウェザーvsパッキャオ Pacman(2)~その男、天敵につき~

今まで、Pacmanは多くの強豪をその拳で打ち砕いてきた。どんな相手でも圧倒し続け、勝利をもぎ取り続けてきた。その実力に疑問を持っていた目の肥えたファンをその戦いぶりで納得させ、そしてエキサイティングにさせてきた。パウンド・フォー・パウンド最強…

メイウェザーvsパッキャオ Money(2)"Bye Bye Mr.Money"

究極のディフェンステクニックを誇っていたPretty boy。無敗を誇る中でも、やはり印象に残る試合というものは多い。まず、フィリップ・ヌドゥ。続いて、ザブ・ジュダー。そして、”ゴールデンボーイ”こと、オスカー・デ・ラ・ホーヤ。リッキー・ハットンやア…

メイウェザーvsパッキャオ Pacman(1)~”国の拳”は一度沈む~

フィリピンのミンダナオ島にあるブキドノン州のキバウェ。のちに人民の王者としてもてはやされることとなるマニー・パッキャオ、本名エマヌエル・ダピドゥラン・パッキャオその人だ。野菜農家の4男として産まれたパッキャオもまた、貧困層の生まれである。一…

メイウェザーvsパッキャオ Money(1)~Lose Yourself~

父のシニア、叔父のロジャーとジェフ。ボクシングに携わってきたメイウェザー三兄弟血筋を引いた男、フロイド・メイウェザー・ジュニア。生まれた時からさぞセレブな暮らしをしていたに違いないと思わせるボクシング界のメーカーは、決して恵まれた環境から…

その戦いが、いよいよ始まる

きっかけは昨年10月、フロイド・メイウェザー・ジュニアのトレーナーを勤めているフロイド・メイウェザー・シニアがインタビューからだった。「その試合は確実に行われるだろう」。あの試合のことがわっと話題に上ってきた。即座にメイウェザー・ジュニアに…

亀田興毅のスーパーチャンピオンベルト授与から見る、日本に戻ってくる可能性とメリット

亀田興毅にWBA世界バンタム級のスーパー王者に贈られるベルトが授与された。WBA王座を8度防衛したことからの功績と考えていいものであろう。しかし、主にボクシングファンは亀田を嫌う人が多い上に、弟の大毅と対決したリボリオ・ソリス戦での騒動によって冷…

リゴンドウの機能美を感じよ

この男が来日することが決定した時点で、ぼくは八重樫も井上尚弥も大晦日の紅白も全てどうでもよくなった。ぼくが今世界で一番美しいと思っている世界王者、ギリェルモ・リゴンドウが防衛戦を行うことになったからである。そのスタイルは言い表すのであれば…

なぜ河野公平はここまでも地味に見えてしまうのか

井上尚弥、2階級制覇へ。スーパーフライ級で現状では最強とも言われるオマール・ナルバエスと12月30日に拳を交える。やや時期尚早な気がしないでもないが、プロ8戦目での2階級制覇という圧倒的な功績を持って怪物第2章とするのであろう。同日には八重樫東が3…