殴るぞ

色々と思いっきり話します。

2015-01-01から1年間の記事一覧

スポーツとエンタメのあいだ

2015年という1年もあと残すところ30時間を切ってきた訳だが、この1年を振り返るだけでもなかなか体験できないものを色々と味わうことができたのではないかなと思う。 良かったことや悪かったこと。思い出したくもないこと。10人いればそれぞれが感覚として違…

羽生結弦「恐怖」

もはや我々が、想像し得ないところにいるのだろうか。322.40というフィギュアスケートの採点において、前人未到の点数を叩き出したのだから。ソチオリンピックからまだ1年しか経過していないのだ。それでも、類まれなる表現力とあくなき向上心で世界の頂点…

三浦隆司「上がる評価と残る不安」

人生には三つの坂があるらしい。結婚式でよく使われるフレーズだろう。上り坂と下り坂、そして「まさか」。 三浦隆司の王座陥落は本当にまさか、であった。相手が指名王者のフランシスコ・バルガスで、バルガス有利と言われていたのは間違いない。しかし、試…

コービー・ブライアント「レジェンドと比較され続けたレジェンド」

「私はもう、あなたを愛せません」とつぶやき、稀代のスーパースターは現役を退く。コービー・ブライアント、その人である。マイケル・ジョーダン以後、アメリカのバスケットボール界で最もMJと比較された。その幻影に悩み続けてきたであろう「ネクスト・ジ…

本山雅志「さらば天才」

クラブを代表するレジェンドがまた、チームを去る。鹿島アントラーズの本山雅志だ。黄金世代と呼ばれた世代でも、本山はファンタジスタと呼ばれて讃えられていた。それもそうだろう。赤い彗星と呼ばれた東福岡高校で高校3冠を成し遂げ、男子の全カテゴリーの…

ミゲール・コットvsサウル・アルバレス「ゴロフキンへの挑戦状」

きらびやかなラスベガスのネオンの夜に、次世代のスターを決める戦いが行われる。ミゲール・コット対サウル・アルバレス。世界4階級王者のコットは、マニー・パッキャオやフロイド・メイウェザー・ジュニアと激戦を繰り広げられたことでも知られる。 カネロ…

白鵬の敗戦は北の湖の導きだったのか

2分49秒1という、激しくも長い戦いの末に勝利したのは照ノ富士だった。将来の横綱としても期待がかかる大関は膝の靱帯断裂に苦しみ、今回は勝ち越すのがやっと。苦しんだ九州場所で、絶対的な強さを持つ白鵬を下した照ノ富士の底力を見た。現にトップコンデ…

トーマス・シャーフ氏講演(2)

トーマス・シャーフ氏のサッカーへの熱は凄まじいものだった(当たり前、と言われればそれまでだが)。実直な人柄の彼らしく明確で、かつシンプルな哲学が見て取れた。 ■攻撃的なサッカーとは何か? 「ボールを奪ってから攻め上がるという意思統一がなされて…

トーマス・シャーフ氏講演(1)

Twitterを見ていると、「サッカーの面白い分析を心がけます」の管理人・らいかーるとさんがTLでインフォメーションを流していた。かつてヴェルダー・ブレーメンを率いていたトーマス・シャーフ氏が来日、講演を行うとのこと。これは行くしかないと思い、即申…

サッカーはサポーターだけのものではない

村井満チェアマンの発言が批判されている。ナビスコカップ決勝戦の前にハロウィンのコスプレを歓迎する発言が、サッカー好きの人たちの逆鱗に触れたようなのだ。twitter上での批判はものすごいことになっている。「神聖な決勝戦を汚している」と言わんばかり…

エドウィン・バレロ「孤独」

いなくなってから分かる偉大さと言うのは結構ある。例えば、マイケル・ジャクソン。世界一のエンターテイナーは生前から偉大ではあったが、やはり死後に彼を超えるポップスターをぼくは見たことが無い。ショービジネスに生きた男がこの世を去ったのは2009年…

村田諒太が世界王者になれない3つの理由

日本で一番、世界王者になると期待されている男がいる。ロンドン五輪のボクシングミドル級金メダリスト、村田諒太である。中重量級が多くひしめく中で、多くのボクシングファンが彼の世界王者戴冠を夢見ていることだろう。 しかし、今の彼では世界王者になる…

2006年高校野球「夏の庭」

2006年夏優勝:早稲田実業学校高等部 高校野球は不思議だ。その夏だけ、神様に愛された球児が時々現れることがあるからだ。斎藤佑樹は間違いなく、甲子園の神様に愛された男の一人であった。それは言うまでもないだろう。夏が始まる前までは「早実のエース」…

2005年高校野球「背番号11の系譜」

2005年夏優勝:駒澤大学附属苫小牧高等学校(2年連続2度目) 背番号11の系譜。駒大苫小牧の全国制覇には、背番号11がマウンドで躍動したことによって生まれた。一人は鈴木康仁。決して球速に飛び抜けたものはなかったが、キレのある球を多くの打者が打ちあぐ…

聖イケルよ、ありがとう

チャビに拍手を、そして聖イケルに敬意を。二人の「旗頭」との別れは、あまりにも対照的であった。チャビは「クラブ以上の存在」と表現するFCバルセロナで、攻撃のタクトを振るい続けた。イケル・カシージャスは「白い巨人」と呼ばれたレアル・マドリーで、…

ピッチに神は要らぬ

リオネル・メッシはまるで、異次元の世界へ達しているように見える。コパ・アメリカのMVP受賞辞退についてだ。クラブでの充実したシーズンを終えて、アルゼンチン代表のユニフォームに袖を通した。しかし、今回も無冠に終わった。ブラジルワールドカップでMV…

ぼくが山中慎介のボクシングにエキサイトしない理由

相手の良さを封じ込め、切れ味鋭く破壊力のあるストレートで相手を打ち抜く。相手はダウンし、やがてゴングがなる。山中慎介のいつもの防衛戦の光景だ。かつて日本にいた亀田とは違い、エキサイティングできびきびとした緊張感すら漂う世界戦。のはずなのだ…

大谷よ、メジャーへ行け。

少し前までは160キロのストレートを投げて、ホームランを打つ選手は漫画の世界でしかありえない話だった。MAJORの主人公・茂野吾郎のようなそんな存在感。これだけスケールが大きく、楽しみな選手など出てくるはずがないと思っていた。 しかし、大谷翔平が出…

香川真司「朴智星から学ぶことができることとは」

かつてスポナビプラスで執筆していた「キリタニブログ」のエントリーで、このような記事があったことを今でも記憶している。ちょうど、香川真司がマンチェスター・ユナイテッドに移籍した頃の話だ。 「香川真司は朴智星をまねるべきである」。 当然のことな…

賞賛の裏で

さて、なでしこジャパンの連覇という夢は潰えた昨日の決勝。2-5という大差での敗戦。ライバル国であるアメリカという壁を高く感じる結果となったわけだ。しかし、日本のメディアは挙って彼女たちを賞賛する。「感動をありがとう」。これはしばしば感じている…

村山紘太の確かな成長

「俺はハードに練習してるぜ! 俺は寝ているときでも練習している。お前らが寝ているときでも俺は練習している。そしてお前たちが練習しているとき、当然俺は練習している」 5月に圧勝したフロイド・メイウェザー・ジュニアの格言だ。父兄弟三人がボクシング…

藤光謙司「29歳の逆襲」

藤光謙司がすごい。俄かに出た陸上短距離を席巻する実力者が、日本選手権でまさかの優勝を達成してしまった。今年に入ってからコンディションがすごく良く、記録会でも自己新記録を叩き出すなど絶好調であることは噂には聞いていた。しかし、29歳となったス…

小川徹レポート「兆し」

恐らく、当ブログで一介の無名選手を取り上げることは初めてだと思う。マッチレポートの前に今回書く小川徹とぼくの関係について書く事としよう。独立して仕事をしたいと思っていた矢先、知人に紹介されたのがきっかけだった。仕事は、名刺のデザインと総合…

誰がどこにいるのか

69-66というスコアから見えるように、実はかなり接近した試合だったプレーオフ決勝第2戦。実は、日本のプロバスケットボールを見るのは初めてで、高校バスケットボールを見に行ったきりとなるため、生観戦は2回目となる。 2戦目ということで、やや身体が重た…

ブラウグラナからの感謝

最強のチームに君臨し続けた男は、最後に3冠を成し遂げてカンプ・ノウを去ることができるだろうか。チャビ・エルナンデス・クレウス。FCバルセロナの「心臓」にして、不世出のゲームメーカー。小柄な身体を隠すようにボディコンタクトをひらりと交わせば、そ…

永井謙佑 ~Wonder or Rubbish?~

「あいつは反則、本当にスピード違反」。高校時代、永井と対戦したことがある人物からそう教えてもらったことがある。トップスピードに入れば、どんな相手でもあっという間に置き去りにされてしまう。それが永井謙佑というサッカー選手の魅力であり、そして…

奇人は誰よりも突き抜ける

サッカー史に残る当代きっての戦術家は、我々が想像している以上にエキセントリックで、クレイジーだ。ルイ・ファン・ハールその人である。AZから始まった指揮官人生は、1991年にアヤックスに就任してから才能が開花し始める。1994-95シーズンはエールディヴ…

夢を与える

いつからだろう。清原の話題が出てくるたびにネガティブな内容ばかりがクローズアップされるようになったのは。いつからだろう。清原がこんなにも格好悪くなってしまったその姿は47歳になる大人としての行動や振る舞いには見えない。そう、わがままを言って…

ボクシングを楽しく見る方法 ~フロイド・メイウェザー・ジュニア vs マニー・パッキャオ 編~

さて、極上のビッグマッチが終わり、様々な評価が飛んでいる。特に悪い評価がだ。「面白くない」、「素人向きではない」。ロンドン五輪金メダルの村田諒太は「メイウェザーだから許される試合」と評し、115-113という独自の採点も見せてメイウェザーの試合を…

ルイス・スアレス、本能と理性のストライカー

あの噛みつき事件からもうすぐで1年が経とうとしている。それも世界一を決める大会でだ。ルイス・スアレスその人である。ウルグアイではディエゴ・フォルランに代わり代表のエースとなり、バルセロナではトリデンテの一角としてネイマールやメッシと共存して…