殴るぞ

色々と思いっきり話します。

レイムンド・ベルトランのウェイトオーバーと粟生隆寛の命の軽視への怒り

 実は、フロイド・メイウェザー・ジュニアvsマニー・パッキャオとの一戦を前にして、日本人選手が世界タイトルをかけた決戦に挑んでいた。粟生隆寛である。長谷川穂積の弟分にして、おそらくはもっとも才能あふれる天才肌のボクサーだ。カウンターのタイミングとボクシングのうまさはおそらく日本人の中でも群を抜いて優れているだろう。

 そんな彼は、3階級制覇を目指してレイムンド・ベルトランとWBO世界ライト級王座決定戦を行うためにラスベガスで対戦することとなった。結果は2ラウンドKO負け。しかし、ベルトランにWBOのベルトが巻かれることはなかった。なぜか。体重超過だ。

 そもそも、ベルトランはこの試合でライト級の体重まで減量できなかったことで挑戦権すらはく奪されていた状態だったのだ。骨身を削るような思いをしてまで行われる減量だが、しばしば海外ではよく起こる。エイドリアン・ブローナーも、わざと体重超過を起こして王座剥奪をされたし、亀田三兄弟が言いがかりをつけられたリボリオ・ソリスも体重超過で失格となった。

 そして、競技性について。体重があればあっただけパワーはあるし、本来のスピードも出やすい。ボクシングのような競技であればなおさらだ。しかし、顕著に出ているその差をもってして勝利したらどうなるだろうか。最悪命に係わることがある。当然だ。健康な状態で上がっている一方で、減量後などほぼほぼ病み上がりだ。そんな中で試合を行えば、健康な人間が勝利するに決まっている。リングで人が死んでしまう可能性だって大いにあるのだ。それをどうして認めることができようか。

 これについて具体的な解決策はない。正直に言えば、選手たち個人にゆだねられる意識の問題だからだ。フロイド・メイウェザー・ジュニアがプロなのは、日々体重のコントロールをしていること。いくら素行が悪くても、そういう点ではやはり「プロ」だ。とにかく、常にウェルター級前後の体重をコントロールし続けている。その部分で、もっとメイウェザーのプロ意識を学ぶ必要があるのではないだろうか。

 ちなみに、この試合でウェイトオーバーしたベルトランはファイトマネーをカットされずに85000ドルを報酬として受け取ったらしい。ペナルティはなく、罰金すら払うこともなかった。粟生に対してはほぼほぼ見切っているのかもしれないが、だとしたら人の命をなんだと思っているのだろう。コラレスカスティージョにあわや殺されかけた。粟生もそうなっていてもおかしくなかった。格闘技は身体をかけて闘うスポーツだ。帝拳のその命を軽視するようなやり方に、ぼくは怒りを覚える。