殴るぞ

色々と思いっきり話します。

その戦いが、いよいよ始まる

 きっかけは昨年10月、フロイド・メイウェザー・ジュニアのトレーナーを勤めているフロイド・メイウェザー・シニアがインタビューからだった。「その試合は確実に行われるだろう」。あの試合のことがわっと話題に上ってきた。即座にメイウェザー・ジュニアによって否定されたドリームマッチは水面下で交渉が始まっていたのだろう。やがてSNSでの挑発的な投稿が繰り広げられ、場外乱闘が始まる。ファンは、いよいよ「世界最強がどちらか」を決める頂上決戦が決まることを期待し始めた。

 オフィシャルなメディアを使用せず、ソーシャルメディアを利用した舌戦は現代のリアルを感じさせる。誰もがMoneyとパックマンSNSに釘付けになっていたはず。この二人の戦いはもはや実現しないと誰もが思っていたのだから。そして、2月20日に誰もが望んだ瞬間をMoneyが自身のソーシャルメディアを通して発表した。

 そうするといよいよ「どちらが強いのか?」ということを考える時間ができるということだ。一ファンとして、そして記事を書く者として。それを深く深く考えていきたいと思う。

 まずはMoney。これほどまでに尊大な態度と数々なトラブルとは裏腹に、綿密な研究と卓越したディフェンステクニックで相手を封じ込めることを得意とする。今までのダメージと先月24日に迎えた38歳という年齢からくる身体の衰えはある。しかし自身の体力と相談しながら、捨てラウンドを作る老獪さと相手の弱点を突く上手さはむしろ進化しているとすら感じる。

 翻ってパッキャオ。小学校すら卒業できなかったフィリピンの貧困層出身だった彼は、草ボクシングから成り上がった国民の英雄でもある。小柄ながら、数多くのビッグネームをその破壊力あふれる強打で打ち破ってきた。結果はオスカー・デ・ラ・ホーヤに並ぶ6階級制覇を達成。しかし、ここ数年はやや停滞気味。特に、ファン・マヌエル・マルケスとの戦いに敗れて以降はも下降気味。「ホーム」であるMoneyを前にしてパックマンがかつてのようなアップセットを起こすことができるのか。

 パックマンの件で、「アップセット」と書いたのにはワケがある。それはぼくがMoneyの勝利を願っているからに他ならないからだ。パックマンがタイトルを取り、かつてのような輝きを取り戻しつつある途上であることも付け加えて、であるが。ビッグパンチャーであるパックマンは36歳。かつてのような強打とフィジカルがあるわけではない。加えて、ファン・マヌエル・マルケスとの試合では「待ち」のスタイルが苦手であることを露呈してしまった。ましてや、ディフェンシブなスタイルを得意とするMoneyは最も苦手な人物であることは確実。厳しい戦いが予想されることは言うまでもない。

 しかし、Moneyを攻略する方法が2点ある。まずは相手を押し込むだけのフィジカルを有していること。そして、一撃必殺のパンチを持っていること。いずれの2点が揃った選手と、Moneyは対戦したことがない。無理もない。そんな選手は皆無だったから。フィジカルだけならばミゲル・コットがそうだった。しかし、彼によって攻略の糸口を見つけられて最終的には完勝。一撃必殺のパンチはマルケスにあったがフィジカルがなかった。しかし、揃えているのがパックマンなのだ。

 全てのメイウェザーの試合で、最も難しい試合となるだろう。今までのようにブックメーカーでも大きな開きはなくなるはず。ただ、それはパックマンにも言えること。この試合、決して見逃せない。華やかなラスベガスで、ゴングが鳴るのは5月2日だ。