殴るぞ

色々と思いっきり話します。

大谷よ、メジャーへ行け。

 少し前までは160キロのストレートを投げて、ホームランを打つ選手は漫画の世界でしかありえない話だった。MAJORの主人公・茂野吾郎のようなそんな存在感。これだけスケールが大きく、楽しみな選手など出てくるはずがないと思っていた。

 しかし、大谷翔平が出てきた。160キロのストレートを投げて、打撃センスも抜群。漫画の主人公のような存在に、今現在に至るまで多くのファンを魅了し続けている。と言っても、ぼくは大谷翔平が嫌いだったし、指名した日本ハムが嫌いだ。メジャー志望を公言している中での指名に空気を読めと思ったし、それを意思を曲げた(あるいは無理やり曲げさせられたのか)大谷の態度が納得いかなかったから。それを大谷は実力でぼくのような考えを持つ人たちを納得させてしまったのだ。特別ファンというわけではないが、なるほど大谷という話題が出るだけでテレビや新聞でもワクワクしてしまう自分がいる。これは納得せざるを得ないだろう。

 投打における魅力にあふれた大谷。おそらくスターターとしてストレートの平均球速では、メジャーの投手とほぼほぼ互角なのではないだろうか。それと同時に、投球のバリエーションが増えたこと。特に変化球が増えたことによって、「すごい投球」だけでなく「負けない投球」ができるようになっている。かつて日本ハムにいた大先輩、ダルビッシュ有とも酷似している。ダルビッシュも「負けない投球」というよりは「すごい投球」をする投手だった。これは東北高校時代からそうだ。ストレートよりシンカー。パワーより技。技にパワーが付いていたと言ったほうがいいだろうか。いずれにせよ、相手打者を見下していても抑えてしまうほどの才能が彼にはあった。その才能を磨き、「負けない投球」にまで仕上げたのだ。

 大谷もストレートはすさまじいものがあった。一方で、投手としては荒削りだった。パワーと球速に頼るあまり、痛打されてしまうこともあったからだ。何より成長痛がずっと続いていたことも、彼が投手として未完成のままプロへ入ることとなった要因に違いない。それをわずか3年で「勝てる投手」になるまでに昇華させる。彼を怪物と呼ばないで、なんと呼べば良いのだろうか。

 と考えると、打者として最近の不振はいただけないものがある。元来、野手としての才能に目をつけていた球団もあったほどだったが、今年に入ってからの大谷は投手の成績と比べて打撃成績は不振になっている。二刀流として持て囃されてきたが、どちらかが飛び抜ければどちらかが伸び悩むか不調になることは容易に想像がつく。

 正直に言えば、大谷は投手に専念すべきと思う。しかし、それでは彼が納得しないだろう。打撃は水物だ。いつ好調になるかもわからないものである。そう考えると、もう1年待ってあげることも策なのではないか、と考える。だが、その決断は早ければ早いほどいい。何より、来年は22歳になる。ダルビッシュは日本代表のエースとして日の丸を背負っていた。幸いなことに打者では中田翔や筒香嘉智という世代を代表する打者が育ってきている。何より、年下の森友哉というまたものすごい逸材が伸びてきている。それを考えると、大谷が無理に二刀流を続ける理由がいよいよなくなってきているわけだ。その理由とは。日本を代表する選手に投打でなれるという可能性とポテンシャルという大きな理由だ。

 だが、もしかすると。いま日本で足りなくなりつつあるのが絶対的なエースなのかもしれない。絶対的エースにも世代交代の時代が来ている。大谷はそこに名乗りを上げるべき選手であることを成績で今、示している。何よりそれが、楽しみでたまらない。そして、強く思う。

 早くメジャーに行け。それが、大谷翔平の義務なのだと。