殴るぞ

色々と思いっきり話します。

RAWAXXXの自分を貫く“強さ”を愛す

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世間ではなんか盛り上がっているものを鼻で笑うような構図だったり、「自分は周りと違う」ということを強くこだわる人は多くいる。
ただ、本当の意味で「とんがる」って相当に難しいことだ。なぜなら、出る杭は打たれまくるからである。

私は幼稚園の頃に先生から人格否定されてきた人間なので、ともすると逆の意味でとんがっているように感じるのかもしれない。
ただ、それだけ人は「とんがる」ということをしすぎると孤独になる。本当に理解者がいないからだ。
そして、そんな理解者がいないであろう人間が時としててっぺんを取るということもある。
RAWAXXX(ローワックス)がKOK2019のてっぺんを取ったとき、そんなことを思った。

 

純粋であるがゆえに「オールドスクール」を守ることしかできなかった

 

フリースタイルに詳しい方ならば、一度であればその名前を聞いたことがあるだろう。
RAWAXXX、あるいはMOL53(もえるごみ)と言えば良いだろうか。「炎上請負人」という名前を持つその男は、MCバトルになれ合いを持ち込むのを心から嫌う一方で確かな才能がある人間を心から認めることのできるあたたかな一面も持つ男である。
日本にある古くからのヒップホップカルチャーを重んじ、今のMCバトルに対してひりついた空気を持ち込む。
今のバトルブームに対しても一線を画すような、あくまでも自分の正義を貫いているといってもいい。

だが、ともするとそれは敵を作りやすいスタイルであることも忘れてはいけない。
誤解を恐れずに思ったことを平然と叩き切るように言い放つスタイルは、それだけ相手への反感を買う。相当敵も多いはずだ。
いきなりラップを聞き始めた人では、RAWAXXXの良さというのをいきなり理解するのは相当難問でもあると思う。バチッと決まるようなライムを出すわけでもなく、どこか相手を見下しているようなスタイルはともすると誤解を与えやすい。

最近は平場のバトルで優勝をしているわけでもないし(トリプルリーチは勝ったが)、戦極やUMBを取っているわけでもない(春選抜は獲ったが)。

それでも根強く彼を信じる者が多いのは、そのスタンスをずっと貫いている。「現場」でしか見ることのできないラッパーの一人だからなのだろう。

そしてRAWAXXXの主張は一貫している。
「自らが貫く正義」をただ純粋に貫く。それ以外を認めない。それが格好いいと心から信じているから。

考えてみてほしい。
世間の常識と自分の正義。それは時として大きく乖離する時がある。
そして、それを乖離した時に多くの人はそれらをまるでモグラ叩きのように叩くのが今の風潮だ。抗えないもの、力関係。そこにあきらめながらもRAWAXXXは変えたくないものをずっと守り続けた。
それこそが彼にとっての「正義」であり、ラッパーとしての彼のあり方なのだろう。

本当の彼はきっと「とても優しい男」なのかもしれない。そう思いながら、彼が笑ったところを見たいと心から感じたのだ。

あなたは肩の力を抜き、自分の言葉を話しているだろうか?

かくして2020年1月11日に彼は笑った。私は感動して泣いてしまった。
単純にRAWAXXXという人間が心から好きだ。それはきっと彼自身が決して「作った言葉」で語る人間ではないからだと思う。

どう頑張ってもバトルで戦うラッパーには以下の方法で戦うことが多くなる。
①固く韻を踏む
②フロー(メロディーに乗せながら歌うようにラップする)
③単純な口喧嘩

こうした会話をしていると、時々「えっ、お前そうなの!?」と思うようなことを言ってしまう人も出てきてしまう。
あるいはいかにも「さあ盛り上がるところですよ!」というような盛り上げどころを作るバトルMCも増えているのが事実だ。
RAWAXXXの言葉を借りれば「座布団一枚」みたいなもの。だが、RAWAXXXにとってラップとはあくまでも言葉のツールでしかない。
まるでさらりと、ともすると当たり前のようにラップができるし、そしてその言葉はあくまでも等身大の言葉でのみ語られる。

そしてその言葉は決して矮小な世界だけにとどまらないからこそ、RAWAXXXは格好いいのだ。
時には傷つきながらも、時には馬鹿にされながらも、それでもこのバトルの世界の中でそれでも「自分」であろうとしたRAWAXXXはとてつもなく格好良く、だからこそ今私たちに問われているのだ。

「周りに流されていないか?」
「肩の力が抜けた、自分の言葉を話しているか?」と。
私は思った。
「等身大の言葉で、自分の言葉で伝える」。その許可を今年はとことん出し続けていきたいと思う。