殴るぞ

色々と思いっきり話します。

村田諒太が世界王者になれなかった3つの理由

 さて、多くのボクシングファンが望んでいたこの試合。村田諒太vsハッサン・ヌダム・ヌジカム(以降はエンダムと表記する)のWBA世界ミドル級正規王者決定戦。2位の村田は1位かつ暫定王者のエンダム相手に強打を振るい、4ラウンドにはダウンを奪う活躍を見せた。

 が、結果はラウル・カイズ・シニア氏が唯一村田を支持していたとはいえ1-2のスプリット・デシジョンで敗戦。その不可解とも言える敗戦は、WBA会長のメンドーサ氏からも「恥ずべき判定である」とコメントが発表されるほどだったのだ、相当だろう。

 村田の落胆ぶりは相当なもので、彼が望めば恐らくはダイレクトリマッチに向けての動きがあるだろうが、しばらくはメンタルの立て直しに時間がかかりそうな具合である。率直に言えば村田が勝利していても何ら不思議な試合ではなかったからだ。

 とはいえ、物事には理由がある。特にボクシングのような恣意的な要素が入ってしまいがちな競技ではなおさらだ。そこで今回は、なぜそうなったのかというのを試合を見ながら個人的に考えた。もちろん意見はさまざまあることだろう。しかし、村田に見えてしまった限界点がどうしても私の中でぬぐい去ることができなかったのだ。

■スタイルと通して見えなくなっていた野心

 一つ目の理由は試合を通して見えてきた。村田はベテラン選手のようにプレーするのだ。これは彼の素晴らしい点でもあるが、ジャッジの印象には残りづらい。これならエンダムが印象に残るという気持ちも分からないでもないのだ。彼がプロデビューを決意してから積み上げてきた「答え」でもあるわけだから、それを責めるのは酷な話である。しかし、エンダムにそれで勝てたとしても村田のボクシングに先が見えなくなっていた。

 こんなボクサーだっただろうか。というのが正直な感想だ。明らかに倒せるチャンスがあるにも関わらず、エンダムを待ち構えている。こんなことは言いたくないが、かつてオリンピック金メダルを獲得した時に持ち合わせていた「野心」。二つ目の理由はこれだ。昨日の村田からは明らかに欠如していた。もちろん、エンダムの回復力がそうさせたと言えなくもないのだが。

 村田は世界チャンピオンにはなれないと思っていた。それは2度に渡って書いてきたことでもある。だが、その予想をどうやら覆してくれそうな雰囲気があった。もちろん、恣意的とも言えるジャッジによってそれは霧散してしまったわけなのだが。

 ポテンシャルは見せた。パンチにもパワーがあるし、ガードも堅い。だが、野心はエンジンを動かすエネルギーだ。欠如すれば、体に影響する。

■狂った技術と感情の欠如

 彼からは野心を感じなくなってしまった。それがボクシングではどれだけ致命的なことか。そしてそれは彼自身が持っていた技術さえも曇らせてしまっていたのだから。彼は堅いガードと強いパンチを併せ持つ男。あれだけエンダムをふらつかせたのに、なぜ倒しに行かなかったのか。あるいは、きれいに倒すことばかり考えて手数が減ったのか。昨日の展開とエンダムのパンチを見る限り、多少のリスクを背負ってでも村田はKOを狙いに行くべきだった。

 ボクシングとはスポーツでもあり、格闘技でもある。もっと乱暴な言い方をすれば殴り合いなのだ。そういうことはフロイド・メイウェザー・ジュニアのようにボクシングを知り尽くした人間だけに許される特権であって、村田はむしろ逆。マニー・パッキャオのようにアグレッシブにもっと攻める姿勢がなければいけなかった。

 あれだけ冷静沈着に攻めていた全盛期の内山高志だって、ファン・カルロス・サルガド戦では猛然とラッシュを仕掛けて最後は仕留めたのだ。あれだけ感情をむき出しにして攻めた内山も珍しいと思うほどだった。そう。野心の欠如による「感情のなさ」。

 終始村田はその感情を内に秘めては居ただろうが、むき出しにはしなかった。きつい言い方をしよう。そこまでベルトが欲しくなかった、とも取られてしまうのだ。としか、昨日のジャッジを冷静に振り返るとそうとしか考えられないのだ。リスクを冒さない者に栄光はない。

■ここで諦めるならば、本当のゲームオーバーだ

 しかしだ。判定に納得がいかないのは私だって同じである。物事というのは公平にジャッジされなければいけない。本田会長はWBAに抗議すべきだし、再戦に向けてエンダム対策を練っていくべきだろう。

 エンダムは曲がりなりにもWBA暫定王者であり、立場上の不利は分かっていたはずだ。だが、決して村田は世界王者の器がないわけでは無いということが分かったのも事実。むしろ、たった一回の挑戦で勝利がするりと逃げたからといって呆然としている暇はないはずだ。

 私は彼になれないと話した。だが、世界王者になれるポテンシャルは見せつけた。このままで終わってはいけない。

 西岡利晃は4回も跳ね返された。八重樫は4年もチャンスを待った。長谷川穂積は6年も待った。今ここで諦めることをしてはいけない。次は、彼自身がリングの上で感情をむき出しにして襲い掛かる姿に、私は期待したいと思う。

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