ブスは待てども、そのままでは誰も振り向かない
昔、仕事場にブスな女がいた。不躾かもしれないが、あまりにもブスすぎて今でもよく覚えているくらいだ。
ただ、仕事はしないで居眠りしている、スマホはいじるとやりたい放題。そのくせ他人の振る舞いには難癖をつける。
「性格は顔に出る」とは良く言ったものだが、間違いなく彼女はそうだった。
今の日本代表のサッカーはブスだ。
いい加減な理由を並べ立てて敗戦の弁とし、すべきことさえ全く整理されない、茫洋としたチームになってしまっている。
性格は良くない、顔も良くない。ただ見てくれだけが立派なだけな代表。
だが、大変申し訳ないことにこれはもう何年も日本のサッカーにおいて解決を見出せなかった結果なのである。
「どうするんだよ」ということが多すぎて突っ込もうにも突っ込めないこの状況。
そちらを踏まえて、今回はこちらを語っていこうと思います。
一体どうすんの?
恐らくだが、ここで森保さんが首になって田嶋会長が辞任したとしても根本的な解決にはならない。
「解任ブースト」で何とかなるチームはただ単純に歯車が狂っているか、よっぽど監督が無能かのどっちか。
今回で言えば森保さんは間違いなく無能なので、ある程度の解任ブーストはかかるかもしれない。
しかし、単純に歯車が狂ってこうなった……とは到底思えないほど今のサッカーは根深い問題を隠しているような気がするのだ。
それが「日本流」。
別に「日本流」を目指すことは決して悪いことではない。
ただ、どの時代にも最低限抑えておかなければならないものがある。それが世界の「時流」だ。
今、世界のサッカーを見てみてもトレンドの入れ替わりは極めて速い。例えるなら、毎年変わる服のトレンド並に入れ替わりがすごい。
しっかりとそちらを捉えた上での「日本流」、あるいはそれに反してでも貫く「日本流」。
もちろんそれがあるのならば構わないが、今の代表にそれがあるとは到底思えないのだ。
もし、森保さんを解任して田嶋会長も辞任したとして。
果たしてその後任の人たちが「やり方」を本当に提示してくれるだろうか?
特に今のサッカーは日進月歩で戦術が進化している。短い期間であっという間にアップデートが繰り返されるだろう。
こうした動きについてくる人物は、果たしてどれだけいるだろうか。
それらを踏まえて、今の日本サッカーに問いたいことがあるすれば「どうすんの?」ということである。
当然森保さんと田嶋会長は辞めてもらうとして、果たしてその“未来”を提示してくれる人はどれだけいるのだろうか?
現時点で、それだけのリーダーシップがあって、周囲を引っ張っていく。そういう人がスパッと思いつかないのだ。
ブスには誰も振り向かない
田嶋会長がどういった経緯で会長就任と相成ったかは分からない。
ただ、少なくとも20年近く前には世界中から視察が来るほどの最先端の育成組織を日本のサッカーに作り上げた。
これは事実だ。リーダーとしてなるべくなったのは事実だろう。
しかし、誰の指図があったにせよ最終的に解任への判断基準を失った日本代表に、少なくともオシムやベンゲルのような優秀な指揮官が就任するようには思えない。
「現場レベル」では、大変優秀な方が多く出てきているのは事実だろう。またJ2ではヨーロッパ出身の指導者が監督となって、Jリーグを席巻した。昨年横浜FマリノスがJリーグを制覇できたのも、論理に基づいたサッカーがそこにはあったからだ。
だが、ここまで変えるための強いリーダーシップを持っていて、しかも「日本流」をしっかりと体現してくれて、かつそれが下の世代から一貫した指導をすることができる。
こうした人材が今の日本にいるようには思えない。しっかりと教えられる方さえいないのだ。
誰もリーダーシップを取りたがらない。なぜなら、解任されるにしても理由がないからだ。
そして留任させられたとしてもそこに理由がないからだ。
今回の森保監督を作り出してしまった日本サッカー協会の罪はあまりにも重い。もちろん森保監督の罪も重大だ。
急激に大きくなってしまった分だけ、コントロールが効かなくなっているのかもしれない。
ただ、変えなければ恐らく日本のサッカーは「ブスな女」のようにやがては誰からも期待されない存在に化ける。
いくら急場しのぎでエステやら服装やらでごまかしたとしても、すぐさま正体はばれる。
なんの手立てもないまま、日本はみじめな結末を迎えるかもしれない。なぜなら、今の日本代表へと向けられているのはそうした「失望」のまなざしだけ。
誠実にサッカーをやっている人たちからすれば、今の日本代表はブスだ。
変わることを期待していても、待っているだけならばブスに誰も振り向かない。
尚、どうやら森保監督は続投のようだが、まあ致し方ないと思う。
意地を張るなら張り続ければいい。勝手にすればいいだろう。ブスである限り、少なくとも私は日本代表の試合など視ることはないだろうから。