殴るぞ

色々と思いっきり話します。

ブーイングとは正しい応援だろうか

 さいたまダービー引き分け。自分は試合を直接見ることができず、詳細がよくわからなかったのだが、大宮のストロングポイントと浦和のタレント力がともに出た好試合だったそうだ。甲乙つけがたい試合結果となったのは、スコアからもはっきりとわかるものとなっている。しかし、試合後に待っていたのはブーイング。それに対して柏木陽介選手が発したコメントが物議を醸すものとなっている。

「ハーフタイムと試合が終わったあとのブーイングには納得いかない。5連勝したあとの引き分けの何が悪いのか。そういうときこそ『次、行こうぜ』と言うのがチームだと思う。3連敗していたらブーイングされるのは当たり前。選手はみんな最後まで戦っていた。そこはサポーターも受け止めて次に向かってほしい。浦和はビッグクラブだけど、選手に対して多少のリスペクトも欲しい。こういうことを言って俺が叩かれても構わない」(ゲキサカ7月18日8時配信より)

 同じ埼玉県さいたま市にあるクラブである。浦和レッズ大宮アルディージャよりも先にできたという経緯もあるがために、浦和サポーターの大宮への敵愾心は我々が想像しているよりも凄まじいものとなっている。ファン、サポーターの熱量と気持ちはまさしく日本一。絶対に応援では負けないという気概を常に感じている。

 ゆえに、時にはその気持ちが空回りして多くのサポーターから白い目で見られてきた。どこかリスペクトに欠けるような言動と雰囲気。差別的な横断幕に選手個人への差別ツイート。しかし、良く考えてみてほしい。何もこの言動は浦和だけに限ったものではない。サッカーのサポーターであれば中指を立てる、侮辱的な野次をするのはほぼほぼ日常的なものではないだろうか。

 柏木選手の発言に話を戻そう。柏木選手のブーイングに対する見解に、Facebookのグループでは彼の発言は大きな批判を持って迎えられている。「10番に対するプライドはないのか」、「ダービーの意味を感じ取っているのか」、「そんなんだから優勝できない」。一方で、柏木選手への擁護コメントも見られ真っ二つに分かれている状態だ。

 端的に言おう。私はダービーマッチであったとしても、相手がライバルチームであったとしても相手への敬意がない言動と行動は嫌いである。もちろんプロなのだから、プレーで批判されてし合うのは致し方ないこと。それでも柏木選手があえて批判されることを覚悟の上で、何故発言するに至ったのかを真剣にサポーターも考えなければいけないと考えている。

 無論、馴れ合いをしてくれなどと申し上げるつもりは毛頭ない。ただ、サポーターだけの価値観や考え方だけで相手に何かを押し付けることはとても危険なことである。現に柏木選手がそれに違和感を覚え、それをメディアに向けて発信してきた。何故メディアだったのか。クラブのプレスじゃなかったのか。違う形での苦言の呈し方があったのではないか。海外では常識という発想で、無学のまま何でも当てはめていいものだろうか。

 そもそも、ブーイングという発想そのものが日本人の体質に合わないようなものだと思うのだ。特定のクラブを応援しているから他人を侮辱していいと思っている人物や、選手に対してあたかも人間ではないような野次を飛ばしていいと考えている人が居るということだ。

 断じて違う。クラブはあなたのお母さんではない。それを盾のようにして他人を攻撃するためのツールではないし、選手たちはあなたの友達ではない。サポーターで金を払っているから、プロとして金をもらっているからといって何を言っても許されるわけではない。そこにはちゃんとした線引きがなければいけない。それこそがリスペクトであるし、こういう試合だからこそ見守ろうという気概があっても良かった。私はそう考えている。

 無論、苦言を呈したい時は誰にだってあるし、悔しい時はいつだってあるだろう。反射的に暴言をこぼしてしまうこともあるかも知れない。それは私だってそうだ、主に闘莉王イブラヒモヴィッチ絡みでは。だからこそ、これには答えがないのかもしれないと思う。どうすればサポーターや選手たちは健全な距離を保つことができるだろう? 永遠に終わらないこの問いに。

 答えがあるとすれば、それはある種の「寛容さ」なのかもしれないなと私は考えている。あれこれと指摘したいことや思うこと。繰り返すが、誰にだってある。それをあえて押し殺すことも、応援の一つなのではないだろうか。そういう点でメディアもサポーターも選手たちも、そしてクラブも。まだまだ未熟なのかもしれないな。そんなことを思った次第である。

 ある種「寛容さ」が優っている社会人野球を見ながらの戯言ではあるのだが、社会人野球の応援団やチアリーダーはどんなに劣勢でも絶対に弱音を吐かない。次は勝てる。まだ試合は終わっていない。試合が終わるまでチームを応援し続け、最後は相手の健闘をたたえる。応援の根源はそういうところにある気がしてならないのだ。

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