殴るぞ

色々と思いっきり話します。

ハリルホジッチがやばいんじゃない

 サッカーの日本代表がやばいという話を聴く。UAE戦で逆転負けを喫し、イラク戦では終了間際に勝ち越しゴールを決めなければ引き分けという状況だった。確かに結果から見るとヤバいように見える。オーストラリア戦が始まるまでは最終予選4位という結果は確かに芳しくない。

 しかし、よく考えてほしい。本当に日本代表はヤバいのだろうか? そこの本質を見ないことには批判ができない。そういうことなので、オーストラリア戦を観戦することにした。UAE戦で大きく失望させられた代表のサッカーは、果たしてどれだけ変わることができたのか。

 蓋を開けてみると、とても素晴らしい内容だった。確かにボールポゼッションでは圧倒的にオーストラリアが有利で、かつてパスサッカーをしていた日本代表とは大凡かけ離れた試合内容となっていたことは否めない。しかし、狙いを持ったサッカーであったことは確かだった。攻撃時には本田圭佑がワントップに入ることで、原口元気のスピードを活かした攻撃を見せる場面もあったし、現に先取点は本田-原口のラインから生まれたものであった。原口がPKを与えてしまったことによって1-0で逃げ切るプランには失敗したものの、狙いを持って90分作戦を遂行しようとした選手たちには拍手を送るべきだろう。本田が足首負傷というアクシデントがなければ、もう1点を取っていたかもわからない。プランが狂ったとしたら、そういうことだろうか。

 交代についての批判はあくまでも結果論でしかないし、遅いようにも見えたがあの場面と状況で守備のバランスを崩すことはとても勇気のいることだ。動かないことも采配の一つなのであるし、選手交代の件はハリルホジッチに権利があるのだから私たちがとやかく言うことでもないだろう。

 今、日本代表は改革の最中にある。ブラジルワールドカップで陥った「自分たちのサッカー」。アルベルト・ザッケローニ氏がコントロール不全にしてしまったサッカーから、ハビエル・アギーレ前監督が立て直そうとするもアジアカップで結果を残せずに解任。しかし、脱遠藤と内田という課題を解消できないままの状態でハリルホジッチは就任した。

 ボールを保持する際の司令塔的役割を欠いたまま、本質的には「使われる選手」の本田と香川が同じようにやっても全くうまくは行かない。だからこそ、ハリルは改革に着手したのだ。最低限の結果を出してはいるが、その危なっかしい内容にハリルへの責任論を問う者も多いのは納得いく。

 しかし、そのハリルが着手している改革をそのまま放り投げさせて、一体誰が代表監督に就任すべきだというのだろうか。この議論、どこかで聴いたことがあるのだ。2大会前、代表を率いていた岡田武史氏だ。最も、彼の采配と直前での切り替えは大したものではあったが、それまで積み上げてきたものを全て捨ててしまったのはいただけないものだった。そして、同じように「岡ちゃん」も多くの批判を浴びてきた。

 また、彼に退任を勧める「論客」が多かったのも事実だった。

 そして、今度は彼を解任して岡田氏や手倉森氏を監督に就任させようという話が上がっている。しかし、リオデジャネイロまでで戦術という形を取ることができず、南アフリカですべてを放り投げた人を仮に結果として成功という形に導いたとしてもそんな人物をハリルホジッチ氏と交代してまで招聘するメリットがどこにあるというのだろうか。それで本当に日本代表は強くなるのか。仮に若手を起用して、それが数年後に戦力になるとしても、そこに強化というものは一切ない。計画性が、まるでないからだ。

 A代表は勝つためにある。下の世代は勝利するためのメソッドを突き詰めて強化するためにある。強化方針を設定できないままオリンピックに臨んだ指揮官と、直前になって「ちゃぶ台返し」をした指揮官に、一体何を期待すればいいのだろうか。

 ハリルホジッチはワールドカップに出場させて、勝利するために招聘された。もちろん、采配のタクトを振るうのが遅かったことや、勝利できた試合を落としたことは事実である。そのことを批判することは決して不健全だとは思わない。

 しかし、ひいきの選手を起用しないことや代表選出について、彼の言葉や考察もなしに批判をすることは明らかに不健全だと思うのは私だけだろうか。最初から批判ありきのメディア、○○選手を起用しろという素人考えでしかない言葉を並べて感情ばかりを並べ立てるサポーターたち。

 チーム状況を鑑みても、オーストラリアから勝点1を獲得したことは十分すぎる結果だったのではないだろうか。本当にヤバいのはサッカーの代表を取り巻いている人たちであり、評論をきちんと行えない評論家ではないだろうか。日本代表はまさしく過渡期にある。そして、大きく変革をしようとしている。ワールドカップに出られないと決まったわけでは無い。見守ろう。ゴールが定まってからでも、批判は十分にできるのだから。

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