殴るぞ

色々と思いっきり話します。

出雲駅伝 青学と他校

■青学健在か? と思わせるレース展開

 高速レースに蹴りを付けたのは、一色恭志くんだった。予想された高速レースでは先手を取らせないことが鉄則となる。特に青山学院大学東洋大学は序盤から先手を取って逃げることに定評がある。しかし、それに真っ向から立ち向かうためにはどうしても実力のあるランナーが必要となってくる。

 がっぷり四つに組んで立ち向かったのは、ダークホースに上げていた東海大学。1区の鬼塚翔太くん、2区の舘澤亨次くん、3区の關颯人くんの1年生トリオが大奮闘。青学も2区は田村和希くん、3区は東京マラソンで話題となった下田裕太くんと実力あるランナーをぶつけて逃げ切る策を講じたが、下田くんは關くんの素晴らしい走りの前に差を開いてしまう結果となった。だが、1年生トリオの奮闘がなければ間違いなく、青学が圧倒的大差を作っての優勝となっていただろう。

 青学健在か? という部分についてはまだわからないが、山要因がはっきりすれば今年も青山学院大学の強さは健在であると評していいと思う。もちろん、20キロを超える駅伝は特殊なレースであるし、今回出雲に勝利したからと言ってそれが箱根での勝利を保障するわけでは無いのだが。

 いずれにしても、鈴木塁人くんという新戦力を試しながら現有戦力と4年生の箱根で起用されるであろう、つなぎの選手たちの状態を確認することもできたのは大きいだろう。スピードランナーが多い青学において、ロードでの適性を探ることはとても重要な作業。序盤戦は盤石に試合を進めそうだ。

■懸案事項の出た東洋大学、収穫のあった山梨学院大学

 東洋大学は思わぬ結果となった。序盤から大きくつまずくと、一度も優勝争いに絡むことなく9位と精彩を欠いた。エースで主将の服部弾馬くんは気合の入った走りを見せていたが詰めが甘く、それ以外の走者もらしくない走りに終始してしまった。

 同じことは駒澤大学にも言える。エースの中谷圭佑くんを欠いたレースとなったが序盤から優勝争いに絡むことができず。それでも4位まで順位を上げたものの、優勝争いに絡むことができず、むしろ工藤有生くんにもトラブルが見られるなど、今後の駅伝レースに大きな不安を持つこととなった。

 収穫があったのは山梨学院だろうか。エースのニャイロくんはもちろんだが、中心となっていく上田健太くんと市谷龍太郎くんが好走。優勝争いに絡むかどうかはまだわからないが、レース展開次第では箱根での優勝を狙うことができる位置を狙えるのではないだろうか。

 中央学院も面白い。1年生の横川巧くんと高砂大地くんが長い距離を任せられた。特に序盤に横川くんが主導権を握ろうとするなど、レースでの仕掛けも素晴らしいものがあった。高砂くんは一色くんに次ぐ区間3位と奮闘。チームも総合4位に入り、地味ながらも地力があるところを証明した。基本的に失点の少ないチームなので、木原真佐人選手などエースとして力のある選手が在籍した時には滅法強い。海老澤兄弟という力があるランナーをいるだけに、珍しく「攻撃力」ある中央学院を見ることができるかもしれない。

 高速レースの駅伝に対して、各大学の対策が見られた今大会。最終的には本来駅伝が持つ「競り合いでの粘り強さ」が物を言うわけだが、全日本ではどこまで各学校が修正してくるかを期待したいところだ。

■「失敗」と「成功」をどれだけ分析して全日本へ結びつけるのか

 この10校は全て全日本大学駅伝への出走が決まっている。コース的にも大波乱が起き辛いだけに、実力が試される大会となるだろう。関東の大学からは15校集まるだけに、シード権争いをする学校にとっても試金石となる大会になるはずだ。

 その中で今回経験したことをどれだけ1か月で落とし込むことができるだろうか。気象条件と選手たちのコンディションによっては、レースの結果が大きく異なってくるのがロードレースというもの。青学でさえも、今回は危うく破れる可能性だってあったように思える。事実、東洋大学は些細なミスから大きく順位を落としてしまう結果となってしまったし、早稲田大学もそれは同様だった。

 青学の「大作戦」を止める大学が現れるか、それともそれを越える「大作戦」を持ち込んでくる大学はあるのか。個人的には東海大学がどれだけ正攻法で倒すことができるのかに注目をしてみたい。全日本大学駅伝も1区から仕掛けることができるか、競り合いでの強さをどれだけ見せることができるかにも注目が集まる。

 対抗馬は口町亮くんが欠場した東洋大学。服部勇馬選手が卒業し、2区を誰が走るのかにも因るが、走力は青学と双璧を成す。9位に終わったとはいえ、地力は相当ある。また、もう一つ今大会奮闘した東海大学になってくるだろうか。1年生トリオが長い距離に対応できるかどうか注目が集まる。山梨学院大学は上田健太くんの走りから、もしかしたらもしかするかもしれない。

 各大学の「青学対策」はどうなるのか。黄金時代を築かせない作戦を見せることができるか、注目だ。

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