日本のボクシング界は危機的な状況である事を、みなさん知らないんじゃないですか?
日本ボクシング連盟の会長、山根明氏の辞任は世間から大きなバッシングと批判の中で行われた「やむを得ない」辞任だったと思う。
どのような事情があって今回ここまで大きくなったのかは分からないが、少なくとも一部では既に事実として挙げられていたことであり、どこかで亀裂が入ってこういう事件になるだろうという事は予測が出来ていた。
そもそも、そのようにしなければならない状況になっている日本ボクシング連盟のガバナンスがおかしい訳であって、理事らが何人も辞任する結果となったのは致し方無いように思える。
人は敵を見つけ出し、その敵に対して一斉に盛り上がる事で一致団結をする動物である。2009年の時の民主党を圧倒的に支持する風潮、ゲスの極み乙女。の川谷絵音への批判、亀田三兄弟への一方的なバッシング。さて、衆議院選挙で民主党が圧勝した事で日本はどうなっただろうか? 川谷絵音は果たして本当に反省しただろうか? 亀田三兄弟への嘘でっちあげについて謝罪した人間は果たしているだろうか? ついでに私怨だが、岡ちゃんを批判していた杉山茂樹さんはいつお詫びのコラムを書くのだろうか?
話が些か逸れたが、簡単に言えば「日本のボクシングは一つとして課題を解決していない」という事なのだ。
◆プロとアマの断絶はどうなった?
ボクシングほど、プロとアマチュアの断絶が激しい競技は無い。山根明氏が会長に就く前には、アマ選手とプロ選手がスパーリングする事さえできなかったほどだ。山根氏になりその規制が緩み、井上尚弥という天才が生まれ、村田諒太や清水聡がメダリストとなった。
だが、それでもプロとアマチュアのボクシングには断絶された世界がある。それは、村田諒太がプロへと転向する際にもあった事であるし、高山勝成がプロとしての現役を引退してアマチュアボクサーとして東京五輪を目指すという事を行った際にも生まれた事だ。
端的に言えば、村田は今後プロとしての現役を終えたとしても。アマチュア選手として現役復帰する事は出来ない。実質的な永久追放処分を喰らったと言ってもいい。高山勝成の場合は、現在法的措置を検討しているためにここから更に変化が起こるかもしれないが……。
これに対して東日本ボクシング協会は「プロボクシングとアマチュアボクシングは違う組織の為関係ない」と素知らぬ態度で突っぱねている。この文面からも、明らかにプロとアマの関係性が完全に改善されたわけでは無いという事が良く分かる。
◆そもそも、プロボクシングも根幹を揺るがすほどの危機的状況であるのだ。
「日本ボクシングコミッション事件」をご存知の人はいないだろう。
それもそのはずだ。さして日本のボクシングなどどうでもいいと感じている人は世の中にたくさんいる。それだけボクシングなどの格闘技はアングラな文化であるとも言えるわけだが……。
簡単に言えばこのJBC内で起きたこの事件は権力闘争を発端としている。その結果安河内剛氏が事務局長を不当な理由で解任され、そこからあれよあれよという間にJBCの稚拙な運営とそれらを一つとして改善できないまま。亀田三兄弟に嘘を擦り付けて永久追放にしてみたり、大沢宏晋に対して敵地での試合に当時加盟していなかったWBOのタイトルマッチを行った事への厳罰を下してみたり(その割には西岡利晃には罰一つ負わせなかった)。
とにかく運営もしっちゃかめっちゃかで、一連の裁判が終結したであろう現在も安全管理などを始めとして健保金の問題さえ解決したのかどうかがはっきりしておらず、どうなっているのかが全く不透明なままのように見えてしまうのだ。
まさかとは思うが……。これを他山の石として見ているプロボクシングジムは居ないだろう。火の粉が飛びかかって来ても何らおかしくないし、むしろ大橋ジムの大橋会長はプロとアマ、それぞれに太いパイプを持っている。真っ先に疑われたとしても不思議では無いと私は思う。
◆木を見て森を見ずでは、一つの解決にもならない
何よりも今、ボクシング選手の人口は確実に減って来ているのだ。それは単純に少子化という問題では無く、結局はゴールがどこなのか全く分からないからだ。プロで活躍したとしてもアマチュアに戻って指導が出来ないのならば意味が無いし(名城や赤井英和さんのような人がもっと増えて欲しいと思う)、余計に入り辛くなっている。
誰もその問題に触れないし、触れようとさえしない。ボクシングは山根会長が辞めて、山根派が辞めたからと言って、何も解決したわけでは無い。そして、プロボクシングにもその火の粉は確実に降りかかるだろう。
何かをドラスティックに改革するときには、やはり何かしらの利権などが大きく動くのは分かっている。もしかすると、プロボクシングの不祥事の事実があまり明るみにならないのも、そのような既得権益に対しての忖度があるからなのかもしれない。
だが、そう言う物を全て打ち破って行くだけの力が必要だ。誰かが内部告発するのが先か、自浄作用が働くのが先か、それとも……。
確かなのは、JBCで同じような事があった時に、叩かれるのが誰であれ本質を見る人が居なければ改革など夢のまた夢という事だろう。
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