殴るぞ

色々と思いっきり話します。

清水聡と村田諒太、今も変わらないライバル関係

 さて、いよいよ10月21日に迫った村田対エンダムの再戦。前回はいささか野心を欠いた戦いとなったわけだが、今回の村田は野心とパワーでエンダムを押し込むことができるかが注目される。

 前回の結果からも分かることだが、エンダムをきっちりと片付けない限りはソーンダースやゴロフキンと夢物語を語ることはできない。ベルトを持っていないことには12ラウンドのボクシングでは何にもならない。

 オリンピックのメダリストといえどもそれは同じ。もちろん、過酷さや明確な判定基準がある以上厳しいことは事実ではあるが。そのプライドを示した物としてこんな話がある。

 かつてオリンピックに出場した経験のある世界王者が、「オリンピアンとして頑張ってほしい」というニュアンスのエールを送ったら、「メダルも取れない癖に世界王者になれるなんて楽だよね」という皮肉で返したのだそうだ。その世界王者も試合内容は決して褒められたものでは無かったのだが。とかく、プライドの高い男と感じた。

 そのプライドの高い男とは清水聡の話である。

■44年ぶりのメダルを村田と持ち帰る

 ボクシングという競技において、メダリストというのは相当な価値を持つ。それもオリンピックでだ。メキシコシティオリンピック以来のメダルということでそれだけでも日本人にとっては価値あるものである。

 加えて、オリンピックのメダリストと呼ばれる選手たちの中には、決まってプロの世界でも活躍ができるだけの下地がある。ユリオルキス・ガンボア、ギレルモ・リゴンドウ、フロイド・メイウェザー・ジュニア、アンドレ・ウォード。最近だとワシル・ロマチェンコやゴロフキンもオリンピックでメダリストとなっている。

 清水や村田はいわゆる「アマチュア」と呼ばれていたボクシング競技において、ナショナルトレセンなどでトレーニングをし合うなど当時から仲が良かったという。ロンドンの地でもお互いを励まし合うなど、親交は深かったようだ。

 その後村田はプロへと転向し、清水はAIBAの道を進むこととなったために自衛隊体育学校を退官したわけだが、このボクシングという競技において何処まで行くことができるのかを追い求め続ける姿勢に代わりはなかったのだろう。清水はリオデジャネイロオリンピックへの道が閉ざされたことで、12ラウンドのボクシング転向を決意。そして昨日OPBFフェザー級タイトルを獲得するに至ったのだった。

■「村田をちょっと追い越したかな」。冗談と村田へのエール

 試合後のインタビューで清水はこのように語っている。「村田をちょっと追い越したかな。あいつはベルトを持っていないので」と冗談を語った清水。ロンドンの時も「負けろよ」と冗談を言い合いながら、しかし結果を出した二人は当時から仲が良いのだろう。

 階級こそ違えど、二人はどうしてもこれからも比較をされてしまうかもしれない。だが、村田も清水もお互いに比較をされることを嫌がってはいないようだ。むしろ、双方を刺激し合う事によって高め合っているような。

 だからこそ、清水はリング上でこのように述べたのだろう。「20日間だけですけどね。これで村田も勝つでしょう」と。必ずエンダムからベルトを獲得してくると信じているのかもしれない。

 ミドル級も簡単ではないが、フェザー級以上も決して簡単な階級ではない(ボクシングにおいて簡単な階級など一つもないわけだが)。そのような時にはやはりライバルが居てくれることが何よりもありがたいのかもしれない。村田と清水は、そうすると今でも変わらないライバルのような関係なのかもしれない。それはオリンピックという舞台でメダルを獲得したから見えているものなのだろう。

■これで村田も清水も世界へと挑む「実績」ができた

「オリンピックのメダリストならば、世界王者は余裕だろう」と言われる風潮もあるにはある。しかし、やはりそれはロマチェンコやリゴンドウのように飛び抜けた才能を持っている選手でなければ極めて難しい。これは多くのファンもそうであると考えていることだろう。

 登り詰めた山を降りて、再び高い山を目指すのはとても難しいことで、メダリストはベルトのフリーパスではない。メイウェザーは1ヶ月に1試合という厳しい条件の中で己の才能を磨いてきたし、ロマチェンコも非常に短いスパンで世界王者へと挑戦し、敗れているのだ。

 村田はエンダムには敗れたが、少なくとも世界王者の経験がある選手相手に「やれる」という実績を見せたこと。清水はOPBFタイトルを獲得することで、今後世界への切符へと繋がる一つの実績を作った。

 ここまで時間がかかるとも思っていなかったが……。あの夏の歓喜から5年が経過し、いよいよ12ラウンドの世界でベルトを巻いた二人をテレビで見ることができるかもしれない。

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