殴るぞ

色々と思いっきり話します。

眠れない夜のために

 PK戦は、千両役者によって幕を閉じることと相成った今年の欧州サッカー。しかし、アツい戦いはまだまだ続く。今週金曜日にいよいよ始まる激戦、EURO2016だ。コパ・アメリカも同時に開催されている今夏は、サッカー好きにとって睡眠不足に悩まされる1か月となりそうである。

 さて、今回のEUROはまさしくどこが勝つか分からないハイレベルな大会となるだろうと勝手に考えている。まず優勝候補に挙げて然るべきなのは、ホスト国であるフランスだろう。かつて母国開催のワールドカップ優勝に導いたメンバーの一人であるディディエ・デシャン氏を招聘し、南アフリカでフランスサッカーをどん底に落とした男の「尻拭い」にも見事に成功した。確かに前回のワールドカップではベスト8に終わったものの、規律を乱さない「鬼軍曹」のデシャン監督率いるフランスを優勝候補に挙げない理由がないのだ。

 ワールドカップと合わせて国際大会連覇が期待されているのはドイツだ。前回のブラジルでは東西ドイツ統一以降で初優勝をようやく成し遂げ、長年にわたってきた育成プロジェクトが成功したことは大きな自信となっているはずである。一方で、本番でエースとして期待されていたマルコ・ロイスが負傷離脱。テクニシャンは揃っているが、予選では安定感のない戦いも目立ち、またリーダー格として期待されるシュバインシュタイガーはクラブチームでレギュラー争いにも苦しんだ。ゲッツェバイエルンを去ることが決定的であり、中心選手には不安もあることは事実である。果たしてヨアヒム・レーヴ監督がどういう采配を振るうのかにも、注目が集まりそうだ。

 おそらくは、この2つの代表チームが優勝候補として挙がる国であることは間違いない。

 3連覇を狙うスペインはどうだろうか。若い選手が多く出てきているのは流石で、クラブチームでもアトレティコとレアルというスペインを代表するクラブがCLの決勝で戦うくらい。まさしく優勝候補ではある。ドイツとフランスに追随する立場であることは言うまでもない。イケル・カシージャスは全盛期の神通力こそないものの、ダビド・デ・ヘアはそれを補って余りある活躍を見せているし、ピケとラモスのDF陣も安定感抜群だ。前回のワールドカップGL敗退のショックはだいぶ和らいでいるのではないだろうか。チームをさらに強化させたビセンテ・デル・ボスケ監督の手腕には驚かされる。不安を挙げるとすれば、9番の不在とケガに苦しんだそのラモスだろう。ピケはポテンシャルこそ高いもののムラがある選手でもあるため、ラモスのコンディション次第でどこまで行けるかも変わるだろう。

 ベルギーも面白い。しかし、優勝候補から外れてしまう理由としてはDFの要であるコンパニの離脱が痛い。かつては出ると負け状態だった弱小国も今ではFIFAランキング2位に付けている。それが飾りでないことを証明するためにも、今回のEUROは結果が求められる。個の力は恐らく今大会ナンバー1であることは間違いないので、期待したい。

 圧倒的に経験不足ではあるが、イングランドも捨てがたいところだ。ここ数年での暗黒期間が嘘のように若手が台頭。特にハリー・ケインやジェイミー・ヴァーティといった点取り屋が出てきたことにより、何から何までやらされていたルーニーが一つのことに専念できるようになっているのが大きい。ロイ・ホジソン監督のタクト次第という但し書きは付くものの、大いに期待を寄せたいチームの一つである。

 一切優勝候補にも入れていないが、そういうチームが案外勝ち上がってくるもの。前回のイタリアや前々回のロシアは正しくそうだった。そういう点で面白いチームはウェールズだろうか。FIFAランキングでも上位に位置するウェールズは、国際大会での経験値こそ他国と比較して乏しいものの、ギャレス・ベイルというかつて世界を席巻したライアン・ギグスの後継者とも言うべき左利きのアタッカーがおり、アーロン・ラムジーと共に世界をどれだけ驚かせることができるか、注目したいところ。

 他にも、クリスティアーノ・ロナウドがいるポルトガルもダークホースとして挙げられる。ここ数年で、クリロナも非常にプレーが洗練されてきており、より点を取ることに特化したスタイルへと変貌している。かつての「ドリブルキング」ではないが、チームを勝たせるアタッカーとなっているのではないだろうか。

 対照的にある種「変わらない」のがズラタン・イブラヒモヴィッチだろう。スウェーデン代表として戦える期間は、もう残り少ない。その能力の高さと対照的に、大きなタイトルとは無縁の天才プレイヤーは、果たしてチームを勝利へ導くことができるのかにも、注目したい。

 ということで、今回注目するチームはフランス・ドイツ・スペイン・ベルギー・イングランドウェールズポルトガル、そしてスウェーデン。順不同となってしまい申し訳ない。さて、眠れない夜のために、見るべき部分を絞っておかなければ。

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