殴るぞ

色々と思いっきり話します。

サッカーの代表監督にふさわしい素質とは何か

 ハビエル・アギーレが解任されてから後任監督の報道が多くみられるようになっている。すでに候補を絞って活動している、有名な監督がオファーを断った、そのような報道が飛び交う。どれも迷走しているように見えるその選出だが、よくよく考えてみるとザッケローニが就任した際にもぎりぎりまでヴィクトル・フェルナンデスが就任するという報道もあったほどだった。つまり、誰を連れてくるのか。それは強化対策委員長の手腕と交渉次第ということになりそうだ。

 さて、代表監督は近年においては極めて特殊な職種となっている。クラブと比較しても大きな制約が課される。その中で、求められる素質とは何かを考えてみた。そして、現在上がっている候補の中から当てはめていきたい。

 求められる資質は大きく分けて三つある。一つは監督としての「経験」。何を当たり前なことを思う人もいるだろうが、日本代表はジーコという「前科」もあるだけにそこは留意したいところだ。

 それを考えると、この時点でストイコヴィッチとレオナルドは除外せざるを得ない。この二者については代表監督にも意欲的な態度をとっているが、レオナルドもストイコヴィッチもその時点でアウトだ。むしろ彼らの名前が挙がること自体が論外とすら思ってしまうほどだ。

 二つ目は「戦術」。戦術がないのは論外だが、戦術が複雑すぎる監督も論外だ。約束事を最小限に、しかし徹底できるチームが勝つことができるのが近年の傾向としてある。それかスペイン代表のように中核となる選手を特定のクラブで固めること。

 ここでゼーマンライカールトらが除外されていくのがわかるだろう。確かにゼーマンのサッカーはすごい。しかし、その難解な戦術を実行できるだけの時間を代表では費やせない。ライカールトは有能な右腕がいなくなったのと同時に監督としての結果も残せなくなっていった。これはちょっと異なるがマガトにも同じことが言える。

 三つめは「采配」。試合の流れを読み、的確な判断を下す能力は「勝利」を引き寄せること。それを最終的なゴールと決めるサッカーにおいて、監督が持つ重要な決定権の一つである。残念だが、ザッケローニにはこれがなかった。すぐれた戦術を採用していても、相手が対応してきたときの柔軟性と修正力には欠けていた。プランBが無かったとも言える。

 それを考えると、ラウドルップやトゥヘル、シュスターはどうだろうか。有能であることに変わりはないが、個人的にはどうも引き出しがあるようには思えないのだ。もちろん、采配とは結果論でもあるし何が起こるかはわからない。ただ、勝ち続けている「名将」と呼ばれる監督は往々にしてその判断を下す力に長けている人が多いことは事実である。

 それを踏まえて考えると、やはり日本を知っているオズワルド・オリヴェイラ。そしてルチアーノ・スパレッティは現状では就任してほしい監督であることは事実だ。前者については鹿島3連覇とブラジル国内での豊富な経験もある。「勝利」を求めるのであれば間違いなくうってつけな監督だ。

 後者はイタリア屈指の戦術家としても知られ、0トップの考案者としても知られている。限られている戦力で組織立ったチームを作り上げることには定評があるし、采配も高いレベルにある。ややもすると柔軟性には欠けるところがあり、ザッケローニに似ている部分もある。

 残念なことに、両者ともに実際のところは就任する可能性は低いと言える。オリヴェイラには心臓の問題が、スパレッティには引き抜こうにも前クラブとの違約金があるため厳しいのだ。

 いずれにしても、すぐに代表監督を決定することは、良い面もあるし悪い面もある。良い面でいうのであれば、ワールドカップ予選への準備ができるということ。悪い面から言えば、無能な指導者を招聘してしまうこともあるということだ。じっくりと腰を据えて交渉に当たるべきという意見もある。あるいは、水面下ですでに詰めの交渉が待っており、あえて嘘の情報を流しているのか。

 もし、そうであるとすれば。かなり日本サッカー協会は高度な情報戦を演じていることになるだろう。ともかく、そんな「デマ」も楽しみつつ、かといって有能な監督がやってくることを願いつつ。新しい監督が来るのを楽しみにしながら、春を待とう。それもまた一興というものである。