殴るぞ

色々と思いっきり話します。

岩佐亮佑「結果にこだわれ」

 思わぬ形で転がり込んできたチャンスだろう。しかし、このチャンスをものにしないわけには行かなくなった。岩佐亮佑の世界王座挑戦である。リー・ハスキンスとの対戦から早くも1年。11月19日に行われる予定だった指名挑戦者決定戦が対戦相手のルイス・ロサが試合前の怠慢によって中止になり、ロサの挑戦権は喪失。繰り上がりで、IBF世界スーパーバンタム級への挑戦権を手にすることとなった。

 対戦相手は大みそかに行われるグスマンと小國の対戦結果を待つこととなりそうだ。おそらくは、八重樫とサマートレックの防衛戦後に指名挑戦者と90日以内に対戦するようIBFからの指令を考えると、来年の3月31日までに世界戦が組まれると考えて良いだろう(もちろん絶対にやるという保障ではないと考えると、難しい判断となりそうだが)。

 思わぬラッキーが転がり込んできた岩佐。このチャンスを逃してはいけないだろう。5年前に山中慎介と激しい戦いを繰り広げた若手のホープも、来年で27歳になる。山中慎介が世界王者となった年に近づいてきているわけだ。

「亀田より俺が強い!」と息巻き、応援する人たちからは「世界戦が組まれないのは恵まれていないだけ!」という声があった中、それを証明する最大のチャンスが来たわけだ。

 むしろ、後戻りができない状況に追い込まれたと言っても良い。

 グスマンの攻撃力は和氣慎吾との対決で十二分に証明されている。生半可なディフェンステクニック、スピードでかわし切れるほど甘くないことも分かる。しかし、打たれもろくスタミナがない。長期戦ともなるとどうなるか分からない。

 小國は日本ボクシングの中でも引き出しの多さには定評がある。しかし、アマチュアボクシング出身でパンチこそきれいだが、想定外のトラブルに陥るとそこからの軌道修正ができない傾向がある。

「8:2で不利かなあ」とこぼす小國の予想は概ね当たっている。生半可なテクニックでグスマンに勝てるわけがない。岩佐にとってはグスマン対策にもなりうるし、小國との対決となれば、スピードで勝る彼が有利だろう。3月31日に向けて、練るべき対策は多くあることは間違いない。岩佐は勝利をしなければいけないのだから。

 大きなことを言ったのだ。求めるものは勝利だけであろう。

 スポーツではしばしある盛り上げるために見せるトーク。それはスポーツをより面白く見せ、格好良く見せるものだ。しかし、口先だけで偉そうなことを言っているだけの選手も多く見られ、結果が残せなければかえって格好悪く映る。ビック・ダルチニャンは最たる例で、亀田三兄弟が大きな批判を受けたのも大きな原因はそこにあったのではないかと思う。

 岩佐は亀田を挑発した。大いに結構だ。しかし、今のままでは「同じ穴の狢」だろう。どんなにつまらない試合をしようが、デンカオセーン真っ青の大荒れ試合をしようが、結果を出さなければそれは挑発した相手と同じになってしまう。

 岩佐のボクシングはスタイリッシュだ。動きも洗練されていて、パンチの切れもハンドスピードも素晴らしいものがある。その反面素直すぎるのだ。一発でもパンチを受けるとトラブルに陥り、自らを見失ってしまう脆さを見せる。その弱点を突いてきたのはIBF世界バンタム級暫定王者決定戦で拳を交えたリー・ハスキンスだった。

 ハスキンスの動きは変則さに戸惑った場面もあったようだが、それ以上に岩佐が一撃をもらったことで焦り始めたことが大きい。アウェーであったこと、初のタイトルマッチという状況は確かに実力を出すには厳しいかもしれないが、別に観ている側としては「スカートを履いたお嬢様」のボクシングなんぞ最初から期待していない。陣営の無策さと本人の実力のなさが敗因としか言いようがないのだ。

 汚名返上となるチャンスが今、やってきた。岩佐は勝利という結果を出さなければいけない。試合内容の評価は後々、専門誌やブログで行えばいいのだ。口先だけの男になるのか、結果を出して有言実行の男になるのか。彼の運命この試合にかかっている。

 このチャンスを逃すようなことがあれば、さっさと退くことが賢明だ。

 一試合が明暗を分ける。ボクシングという競技は一つの負けが命取りになりかねない。また、サーシャ・バクティンのように実力があっても日の目を見ることもなく引退してしまう人だっている。サーシャにチャンスはほぼなかった。人生においてそうチャンスはやってくるものではない。岩佐はチャンスを得た。それも日本で。口だけの男になりたくなければ、勝って結果を出すしかないのだ。

 リングに立てる。すなわちチャンスはすぐそこに転がってきているというわけだ。リングの中はいつだって単純だ。オール・オア・ナッシング。勝負というのは、だからこそ面白い。

 さあ岩佐亮佑よ、結果で見せろ。今、最大のチャンスが転がってきたのだから。

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