殴るぞ

色々と思いっきり話します。

山中慎介はこれからどうなるのか

 8月15日に行われたWBC世界バンタム級タイトルマッチで、山中慎介は敗れた。しかし、これに対して勝者であるルイス・ネリーから禁止薬物が検出された上に、B検体からも同じ禁止薬物成分が検出された。

 簡単に言えば、ネリーは山中との試合でドーピングをしていたという、動かぬ証拠を突き付けられたこととなる。汚染肉から摂取したという主張も分からないではないが、実際のところ摂取できる量は相当食べなければ検出される量ではないということだそうだ。

 個人的な話をすれば、せっかくこれだけの良い試合を見たにもかかわらず、このような終わり方になってしまったことが残念でならない。荒削りではあるが闘争心ある左ファイターだっただけに、将来楽しみにしていたのだが。

 これによってリングマガジンからは王座差し戻しが発表され、山中はリングマガジンバンタム級王者として再び君臨することとなった。一方で、WBCからは何の発表もなく、山中の王座はこれからどうなるのか不透明なままである。

■かつてのWBC王者が防衛を重ねられるのか?

 さて、もしWBCから王座を差し戻されたとして。山中は果たして今後防衛することはできるのだろうか。私は正直厳しいものがあると思う。それは、山中の弱点が明らかになりすぎたからだ。

 山中の特徴は何と言っても左ストレートである。強烈なパワーを秘めている。一方で、非常に倒す距離が近くなってしまう分だけどうしても被弾する確率は高まる。クリスティアンエスキベル戦では攻勢に出たところでダウンを喫しているし、リボリオ・ソリスやアンセルモ・モレノも同じような形で攻略法を示した。

 加えて、左ストレートを封じられてしまうとどうしても攻撃に不利な形が出てしまうのが実情としてある。直線的になってしまう攻撃に対して、スピードのある選手やステップワークの良い選手には分が悪いのだ。

 そして、35歳という年齢から来る衰え。ディフェンステクニックやステップワークを改善するには少し時間が遅れてしまっている。ビック・ダルチニャン戦ではいくら衰えたダルチニャンとはいえ、強打を抑え込んだのだから。ただし、そうなると自慢の左さえ封じ込めてしまうリスクを負わなければならなかったかもしれない。

 勝負の世界はとても厳しいのである。

■山中のモチベーションは大丈夫なのか?

 続けて心配となるのが、山中のモチベーションである。ネリーに敗れ、ベルトを奪われたことで一度気持ちは切れてしまっているはずだ。再挑戦となるとフィジカルもメンタルも再び呼び起こすのは厳しいものがある。

 何度も申し上げるが、山中は10月で35歳になる。ベテランボクサーがたった数ヶ月という短い期間で再起を果たそうと思うのは厳しいだろうし、WBC王座に仮に復帰したとしてすぐに始まる王座の防衛戦へと向けてメンタルもフィジカルコンディションも最高潮まで持って行くことは難しいだろう。

 私は山中が現役続行でも引退でもどちらでも構わないと考えている。即座な決断は難しいだろうし、その決定をすぐにさせることは危険だろう。かといってビジネス上で冷徹に判断した上で、本田会長が方針を決定させるのもやはりもっと危険だと思う。

 山中の判断を待つしかないというのが実情だろう。

■有耶無耶になったまま進みかねないのもボクシングの危険なところだ

 ファン・マヌエル・マルケスマニー・パッキャオの第4戦は、マルケスがドーピングをしたという噂が流れ、ちょっとした騒動になったことは記憶に新しい。フロイド・メイウェザー・ジュニアやユリオルキス・ガンボアも同じようにドーピング騒ぎがあった。

 日本人との直接のかかわりで言うならば、レイムンド・ベルトランと粟生隆寛無効試合となった一戦ではないだろうか。大凡考えられない体重オーバーとドーピングというダブルで許されないことをしたベルトランだが、サスペンドを受けて今も現役で活動している。

 その試合にかける思いや勝ちたい気持ちが理解できないわけでは無い。だが、ドーピングは明確なルール違反であり、食物から仮に摂取したとしてもそのような報道がメキシコで十分になされていたのであれば、やはり摂取したネリーにも立派な落ち度があるように思える。

 これについてのWBCで行われるサスペンションについては、未だに説明はない。もしかすると、このまま有耶無耶になる可能性だって十分にあるだろう。そうならないように普通はJBCからアクションがあるべきなのだろうが……果たしてどうなるか、今後も注意深く見守る必要がありそうだ。

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