殴るぞ

色々と思いっきり話します。

十両とは前田敦子である

 ということで、先日お邪魔させていただいた「幕下相撲の知られざる世界」のライブ中継。元々ニシオさんとは仲良くしてもらっているわけだが、今回はそんな彼らと大相撲の十両について話した。元々、江戸時代にお給金として十両もらっていたことからその名が付いた階級。しかし、決してクローズアップされることが無い階級でもある。

 一方で、力士にとっては十両になるかならないかで、とてつもなく立場が変わってくる。なぜならば、十両になればそれまで年収100万程度だった力士が1000万という大金を得ることができるようになるからだ。

 この差はとてつもなく大きい。何よりも、700人弱居る大相撲の力士の中で、1000万以上稼ぐ力士は10人に1人いる計算になる。ものすごい世界である。ボクシング選手でそれだけ稼いでいる人は稀有だというのに、名前も知らないであろう十両の力士は1000万円稼いでいるのだ。世の中は実に面白いと思う。

 そんな上位10%の力士を見ていて思ったのは、決して十両大関横綱と比較したら見劣りするが、弱くはないということである。幕下や三段目と呼ばれている力士たちよりは明らかに強いし、大体上位10%と呼ばれているのだから弱いという表現はまず間違っていると断言して良いだろう。

 そして思ったのだ。このロジックで行けば十両とは前田敦子であると。

「いきなり何をぶち込むんだお前は」と思われた方も居たかもしれない。だが、あっちゃんを想像してみよう。彼女はとびきり美人というわけでは無い。どちらかと言えば私はこじはるやもっちぃが推しメンであるほどだ。だが、だからと言ってブスかと言われると決してそんなことはない。時々、ドキッとするような表情をするときもあるからだ。

 そして、多分一般人に紛れていると改めて思うのだ。「あっちゃん美人じゃね?」と。美人かどうかのぎりぎりのせめぎ合い。十両と似ているとは思わないだろうか。強いかどうか。力士全体からしてみたら、白鵬稀勢の里には勝てないかもしれない。けれど、弱いわけでは無い。むしろ強い。その絶妙なところに居るのが十両なのだ。

 思うと、そんなあっちゃんがAKBのセンターを務めていたのはもう5年も前のことになる。その当時からなぜ彼女がセンターなのかという疑問は尽きなかったし、論議の的になってきた。確かに、長身で美人な麻里子さまやこじはるの方がセンターとしては華があるし、まゆゆはまさにアイドルっぽい。あっちゃんが彼女たちと比較されたところで何か特別なものを持っているわけでは確かにない。

 だが、ある意味でAKBという看板を背負い、分不相応にも見えた彼女のその立場こそが、あっちゃんをさらに強くさせたのかもしれない。力士たちも同じだ。周囲からの期待を一身に受け、必要以上のプレッシャーを受けながらも成長する。やがて5番手程度だった力士はその中で実力を身に着けてさらに上の番付へと昇っていくのだと思う。

 あっちゃんはAKBを脱退してから、女優・前田敦子となった。いや、どっからどう見てもAKBの時の貯蓄を切り崩しているだけじゃんと思うかもしれない。だが私としては「もらとりあむタマ子」の前田敦子は、あっちゃんから女優として成長して行く第一歩としてとても素晴らしい映画だったと思うわけだ。不要なプレッシャーから解放された彼女は、前田敦子という一人の人間としてさらに成長を続けているのかもしれない。

 十両という立場はまさに分水嶺なのかもしれない。多くの力士はまず、十両を目指すという。今までの年収から10倍も膨れ上がるのだから何も不自然なことでは無い。一方で、昇進後は大きく明暗が分かれることになる場所でもある。そこをゴールと見るか、さらに成長を続けていくか。あるいは自覚せずにそのまま才能だけで昇進してしまうかも分からない。色々なタイプが入り混じっているのが十両なのだ。

 一つ確かなのは、そのまま昇進していく力士はあまり長いこと十両には居ないということである。千代の富士がかなりレアなケースであると先日のUstreamでは話されていたが、まさにその通りなのだろう。

 AKBという場所で収まってしまうアイドルはそれなりに居る。どうすればチャンスを掴めるかと模索している子も多いだろうが、そこからどうなるかという点で言うならば、彼女たちは岐路に立たされていると言えるのかもしれない。

 十両を抜けた先には何があるのか。前田敦子はAKBという一つの時代を駆け抜けていき、見えてきた世界があるように。悲喜こもごも、どうなるのかは力士次第。AKBも力士も自ら言い出さない限りは卒業が無いように。

 

その激しい競争の中で、どうやって自らをこの世界に残していくのか。詰まるところ、AKBと十両は良く似ているのである。

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