殴るぞ

色々と思いっきり話します。

【浦和レッズ】ラファエル・シルバ「Welcome to the jungle」

 とんでもないスタートだ。ゼロックスに引き続いてJリーグでは2戦連続3失点の大失態。最終的には齊藤学というJでもトップレベルの個人技を持つ男にやられてしまったわけだが、いきなり開幕からこのやられ方はちょいときつい。

 DF陣の高齢化は地味に影響を与えており、阿部勇樹も絶対的な存在ではなくなってきている。不安ばかりが募る開幕節となったリアル。だけれど、バルサはピケとマスチェラーノのCBコンビはいつまでも変わらんし、そうそうCBはGKと同じくらい変えることができないポジションでもある。確かに即戦力のCBがほしいのは事実だが、あせらず行こう。ACL組は疲労も相まって序盤はもたつくのが世の常だから。あ、川崎さんお疲れ様です。

 だって、希望がないわけでもないし。攻撃的なサッカーを追い求める浦和というクラブにおいて、新たなる光明を見出すことだってできたのだから。ラファエル・シルバという新しい戦力が2ゴールを挙げたことは、諸手を挙げて喜ぶべきことだと、個人的には思うのだ。

 久々に浦和にやってきた、個人で突破して点を取れるアタッカー。新潟からやってきた選手と考えるとエジミウソンを思い出すプレイヤーだが、エジよりもはるかに周囲と連携が取れる選手でもある。そう考えると、ラファエルは浦和の優勝を担う大きな存在になりそうな気がしてならないのだ。たった一人で点を取ることもできる存在。組織だけで点を取ることが難しい時に、もっとも輝きを放つ男になるのかもしれない。

 興梠はなんでもできるタイプのFWだが、いささか天才肌の気があるし、チュンソンにズラタン、武藤も存在感は素晴らしい。しかし、周囲との連携で点を獲るタイプの選手だ。ラファエルのようにガンガンと一人で点を取っていくタイプの選手は非常に希少なのである。梅崎や高木も仕掛けていける選手だが、その割には点が取れていないことを考えると、浦和にいなかったタイプの選手ではある。

 しかしだ。前線のアタッカーは非常に充実している。ラファエルの2ゴールがその争いに火をつけるきっかけとなるかもしれない。興梠はレギュラー確定としても、ズラタン・高木・武藤・チュンソンはラファエルが確定してしまえば残り一つの椅子を争わなければならなくなる。あ、オナイウさんはもう少し頑張ってね。

 つまり、このセンセーショナルな活躍をしたとしてもラファエルがいつまでもレギュラーでいられる保障はどこにもない。そう。むしろ彼は目を覚ましてしまったかもしれない。熾烈なレギュラー争いをする選手たちを。

 かつて、ガンズ・アンド・ローゼズが発表したあの「Welcome to the jungle」のように。彼は浦和のアタッカー陣という巨大なジャングルに放り込まれた。そのジャングルで生き残るには、とにかく勝利へとチームを導く結果を出し続けなければならないのだ。アクセルはクイーンズ地区のとある学校で一晩寝た。そうしたら、黒人の男が現れてこう言った。

「オマエ自分がどこにいるのか、わかってるのか? ジャングルだよ! オマエ死ぬぜ!」

 徐々に世代交代を意識している浦和の前線陣。ボランチも遠藤がイニシアチブを握れば、矢島か長澤がその一角を担う時が来るのかもしれない。そうなったときに、衰えが見える阿部をCBにコンバートすることで、ある程度はごまかすことができる。CBでの動きを見せなかったのはまだよくわからないが、徐々にミシャのサッカーも変容を遂げてきていることが良くわかる。

 ハーフコートサッカーを目指す過程も、ある程度CBの衰えを隠すための方法論だとしたら。ミシャはその難しいかじ取りをどのようにこなして行くのだろうか。そう考えると、前線の選手たちの献身性が重要になってくる。興梠も武藤もそのタスクを充分にこなせる選手ではあるが、できるなら前線から中盤の選手は入れ替えができることが理想だ。

 ラファエルのスピードは、そのミシャサッカーにおいて重要な要素を占めることになるだろう。だが、それはほかの選手が要らないと言われているわけではないのだ。むしろ、ここからが面白くなってくるのだ。このJungleというリアルをどのように突破していくのか。その先に見えるのはスタメンか、ベンチを温め続ける日々か。

 高木がレギュラーを張っていた時。誰が彼の活躍を予想できただろうか。それは、何よりも腐らずに練習に励んできた彼の成果である。新たな戦力の登場によって再びスタメン争いに引き戻されたわけだが、熾烈な競争で生き残っているという自信。さあ、どう出るか。このリアルをどう突破していくのかを見届けてみようじゃないか。

 アクセルはWelcome to the jungleについて、こう振り返っている。

「あの曲を書いた時点では、オレ達も世界を目指して必死になって生きていた。探しているものが、善か悪かのどちらかだってこともわかっていた。つまり、あの曲で言いたかったのは、あれが現実で、オレ達はその中で生きてるってことさ。別にLAに限らず、都会なら、どこでも転がっている風景さ。オレは、そんな状況をいくつも見てきたぜ。もともとのタイトルは、ジャングルじゃなくて『Welcome to the City』(ウェルカム・トゥ・ザ・シティー)だったんだが、シティーじゃ楽園みたいだから変えたんだ。要するにさ、ジャングルってのは『現実』のことなんだ」

 Welcome to the jungle, ラファ・シルバ。君の活躍を心から祈っている。

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