殴るぞ

色々と思いっきり話します。

出雲駅伝―高速レースに馳せるもの―

 さて、いよいよ明日から出雲駅伝が始まる。これをきっかけにして、3大駅伝が開幕。陸上もトラックからロードレースのシーズンになるわけだ。この高速レースは、今年の3大駅伝の難関でもある箱根駅伝に大きく直結する大会と言い切っても良いだろう。

 それはなぜか。近年の駅伝では「先行逃げ切り型」の展開となるレースが非常に多く、昨年の青学や全日本での東洋大学のように、序盤でリードを保つか山登りの5区までの展開で優勝を狙える位置にあることがある種の鉄則となっていたためだ。そして、今年から5区の距離が再短縮されて4区が再び20kmあるレースに戻った。これによって、先行逃げ切り型のチームがより有利になるのではないかというのが個人的な見解だ。

 それを考えると、優勝候補は青山学院大学東洋大学。両者ともスピードランナーを揃えており、特に3区を走った秋山雄飛くん、東京マラソンでも話題になった下田裕太くんと一色恭志くんと非常にロードに「強い」選手がいることが大きい。特に一色くんは学生最強ランナーとなっているだけに、今回は区間賞も狙って走ることができるだろう。東洋にもスピードランナーが多くおり、また酒井監督の下で才能を開花させた選手が多い。口町亮くん、服部弾馬くんはその筆頭で(服部くんは豊川高校時代から有名だったが)、いかに序盤でトップに近い位置にいるかで勝負が決まるだろう。

 チームスタイルも似通っていて、先行逃げ切りでは滅法強いが、互いに競り合いにはやや弱い傾向がある。競り合いに強い経験がある一色くんと服部くんの仙台育英-豊川の二人が競り合いで勝負できるかどうか。キーマンは両者となるだろう。

 さて、その下に来るのは駒澤大学だろうか。安定して3位以内に入る地力の強さが常にあるが、大八木監督の予想が外れるのか育成の問題なのか。エースは強いがつなぎが弱いという駒澤には珍しい現象が起きている。もちろん、他大学と比較すればつなぎの弱さは目立たないが、ここ数年の結果を見てみると、どうしても詰めの甘さが目につく。

 特に今年は下史典くんを始めとする2年生はもちろんのこと、工藤有生くんを始めとする3年生にも奮起を促したいところだ。4年生では西山雄介くんに要注目したい。

 下手をすれば、多くの好素材がいる東海大学に3位の座を食われてしまうかもしれない。それだけ学生駅伝は苛烈なものなのだ。

 出雲・全日本で勝てるか。大八木監督の采配も注目してみたい。

 さて、それ以外で面白い大学を探すと、東海大学は先ほども述べたようにダークホースになり得る好チームだろう。何を隠そう、好素材にあふれているのが今年の東海大学だからだ。

 新入生の關颯人くんは佐久長聖出身で昨季高校駅伝1区区間賞を獲得、鬼塚翔太くんも逸材だ。羽生拓矢くんと1年生にして非常に好タイムを持つ選手が入学し、2年生以降でも記録会や様々なレースで実績を残してきた選手が多く残っていることが大きなポイントとなっている。

 気になる点は山登りのスペシャリスト、宮上翔太選手が卒業してどうなるかという点。4年生かそれとも1年生の大抜擢あるか。ロードに強い選手たちを育てることに定評のあった両角監督がどのように育成するかも注目してみたいところである。

 他にも、リオデジャネイロオリンピックに出場した塩尻和也くん率いる順天堂大学や、地力のある早稲田大学は台風の目になる可能性を大いに秘めていると言っても良いだろう。青学と東洋の存在は確かに大きいが、決してそれは絶対的なものではない。些細なトラブルも大きなものに、それがロードレースというもの。では、勝利するためにはどうすればいいのか。

 それは1区から仕掛けることである。特にチーム内で強い選手を配置できるかどうかにかかっているだろう。これには選手層もモノを言うだけにどれだけチームが良い状態であるかどうかにかかっている。これから3か月以上にわたってのコンディション管理とつなぎの区間を走る選手の充実、多くのことが絡んだ上でやっと青学と東洋とやりあえるレベルとなる。

 それでも1区で仕掛けていく必要があるのは、それがウィークポイントであるからだ。青学も東洋も競り合いに弱い。特にリードされたら突き放されてしまう傾向にあり、リードをされたらどんどん勢いに乗って突き放していくのも彼らのスタイルだ。

 それでも、青学や東洋が強いのは個々の選手の走力がとても高いこと。駅伝の高速レース化をになってきた2校であるだけに、スピードレースにして好きなペースにさせてしまうとどんどんタイム差を付けられてしまうことになりかねない。そうさせないためにも「混戦でこそ力を発揮する強さ」を駅伝では見てみたい。そのためにはとにかく序盤、それも1区なのである。

 さて、その1区について。どのような形となるのだろうか。距離と区間が短い高速レースとなりがちな出雲駅伝は、その試金石ともなりそうな一戦である。

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