殴るぞ

色々と思いっきり話します。

レッズとマリノスが吸収合併されない、3つの理由

 まさに衝撃的なニュースであった。三菱自動車が日産の資本傘下に入るという報道である。急に出てきた一連の不祥事は、日産が三菱を安く買い叩くための策であったとか、色々と言われている。しかしここでは、様々な陰謀論に関するコメントは差し控えたいと思う。ここで今回言及しているのは表題の通り。「レッズとマリノスが吸収合併されてしまうのではないか?」ということについてである。

 そして、私はあまりそれが現実的ではないと考えている。もちろん、浦和レッドダイヤモンズという株式会社の株式を50%以上も三菱自動車工業という親会社が持っていたとしても。理由は3つ。一つは浦和と横浜という土地、二つ目に経営状況、三つ目に親会社は同じでも違うチームの実例だ。

 まず浦和という場所について。浦和の街は駅を降りたらすぐわかるように一面レッズ一色になっている。元々サッカーの街であったことは事実なのだが、三菱自動車工業時代から続き、赤き血のイレブンという作品の舞台にもなったようにとてもサッカーに対してこだわりのある土地と言える。AKB48小嶋陽菜さんは浦和サポーターだそうだが、浦和に住む人のサッカー談議は濃いという都市伝説をどこかで聴いたことがあるほどだから、相当だろう。ちなみに小嶋さんはめちゃイケでかつて浦和にいたポンテ選手の名前をぽろっと言ったことがあったことは余談である。いきなりユニフォームの青いチームとの吸収合併が決まったら、サポーターたちはいったいどうなるだろうか。それを考えると、その想いを無視して吸収合併することは現実的ではない。

 続いて経営状況。相次いで多くの選手を補強するレッズにとって、補強は欠かせないもの。しかし、親会社に依存しない経営をすでに達成しているのだ。浦和レッズの資本金は1億6000万円で、このうち50%ほどを三菱自動車工業がまかなっている。つまり8000万は、多くのスポンサーとさいたま市によって保有されている。なおかつ会社が立ち上がったときには三菱自動車1社だけだったスポンサーも現在は27社もある。更にレッズはJリーグ屈指の収益を誇るメガクラブ。もし仮にここからごっそりと三菱の広告がなくなると考えたとしても、損失は大きいだろうが大怪我につながりにくい。「優良企業」の一つであること声を大にして言いたいくらいだ。

 そして、同じグループ内に異なる2つのチームがある例だ。バスケットボールチームのトヨタ自動車アルバルク東京と、アイシンシーホース三河。アイシンとは元々はトヨタ自動車工業の会社として設立された愛知工業という会社が成り立ちだ。後にバスケットボールチームで名門同士となる企業だが、同じグループ内の企業がこのように並立して同じようにバスケットボールのトップチームを抱えているということは参考になるのではないだろうか(もちろん、一概に比べられるとは思っていないが)。

 そして最後に、私からの個人的な見解だ。

 マリノスの正式名称は横浜F・マリノスである。当初はマリノスだけだった横浜の名門クラブは、かつて横浜にあったもうひとつのクラブを吸収してできたクラブである。横浜フリューゲルス。Fという文字はフリューゲル、ドイツ語で翼を意味するワードがそこに刻まれているわけだ。

 1998年。日本がワールドカップに出場したときのこと。それは突然やってきたのだ。当時監督代理を務めたゲルト・エンゲルスは「誰でもいい、助けてくれ!」と叫んだ。天皇杯で優勝出来るだけの力を持ちながらも、フリューゲルスは殺された。親会社の経営状況によって。そしてそこにはFという文字が刻まれた。しかし、ずたずたに切り裂かれた思いはマリノスへの応援に向かうはずもなかった。その人たちの思いが結集してできたのが、横浜FCなのである。

 楢崎正剛選手は未だに名古屋グランパスから移籍しないのは、前所属の項目から横浜フリューゲルスという文字を消させないためなのだという。近鉄バファローズも同じように殺された。私はオリックス・バファローズ東北楽天ゴールデンイーグルス近鉄の後継球団とは思えない。バファローズとは近鉄バファローズであり、オリックスが使っていい名称ではない。復刻ユニフォームですら袖を通してもらいたくないほどである。

 また親会社の都合に振り回されて殺されるチームが生まれることを良しとするのだろうか。ましてや日本屈指のビッグクラブでだ。そんなことが起きてしまえば夢も希望もへったくれもなくなってしまう。

 そんなことがまかり通れば、日本のプロスポーツそのものが危機的な状況になりかねない。仮に現実的でないとしても。だが、絶対はない。本当にそうなってしまうかもしれない。このようなことは断じて阻止しなければならない。

 大げさかもしれないが、レッズを守ることは、日本におけるスポーツの未来も決めることだと思う。絶対に存続することを、一ファンとして。私は心から願っている。

Twitterはこちらから。

Facebookページはこちらから。