殴るぞ

色々と思いっきり話します。

つくばロボッツに見えた、NBLというリーグの現状

 もはや、再建をするのは不可能の域に達している。日本バスケットボールの現状である。FIBAの理不尽な要求でさえも呑まねばやっていられないほどの惨状には目を覆うばかりだ。そして、その追い打ちをかけるようにNBLのチームが経営危機であることを露呈。いよいよ日本バスケ、敢えて言うならNBLは窮地に追い込まれている。FIBAとのコネクションがある旧体制を追い出した結果、自分たちでは身動きがとれなくなり、どんどんジリ貧になっていった日本バスケ界。ある意味で旧態依然状態であった自民党を追い出した民主党にも似ているような気がしてならない。日本の政党は自民党に戻ったことで、結局何一つ政権交代で変えることができなかったわけであるが、政権も協会も実はあまり変わらないような気がする。

 という堅い文章から始めたが、今回はそのつくばロボッツにスポットライトを当てたいと思う。ある意味でこのリーグにある根底の問題と密接に関わっていると感じているからだ。

 NBLは簡単に言えば実業団チームだ。野球で言えば社会人野球に近い。アイシン、トヨタ自動車松下電器などが占めていた時期もあり、スタンスとしてはかつてのプロ野球にも近しいものがあった。ファンサービスをしなくても、そしてイベントなどをやらなくても。観客動員できようなできなかろうが、損失分は親会社が持ってくれるから大丈夫。ほとんどテレビでやっているのは巨人戦。だからジャイアンツは放っておいても観客は増えていた。何よりも損失をいくら出そうが問題ない。そこから積極的なファンサービスなど産まれるわけがなかった。

 しかしどうだろう。今はファンサービスをしてナンボなところがある。試合は何やら目を引くようなキャッチーさがあり、「カープ女子」という言葉も出るほどになった。人気が低下したジャイアンツはそこで始めて営業する辛さを味わって、2013と2014年は観客動員数を300万人突破させた。テレビ中継などなくても「生を見に行こう」という人が増えた証でもある。本当に頭が下がる思いだ。大口のスポンサー企業や、面白そうなマッチデープログラム。そして公式サイトでも選手の動向を載せるなど「マメ」だ。

 翻ってつくばロボッツNBLからの支援を断るほどで(ガバナンスに関わることも話しているが)さぞ自信があるのだろうと見てみたらオフィシャルスポンサーは3社、パートナー社は5社。プロ野球のように経営母体が大きな会社であるならともかく、ロボッツはそのような会社を持たないチームである。これでどうやって運営をしようとしていたのだろうか。かといえばファンサービスや何かしらのイベント、選手の情報すら見えずにファンを軽視しているようにしか思えないほどであった。

 もっとも、それはプロ野球だからできることなのかもしれない。何よりプロ野球も損失を補填できるようなシステムになっているからだ。では、Jリーグではどうだろうか。スポンサー企業はついていても、企業名を付けることは許されない上に赤字経営などもってのほかだ。同じ茨城にある鹿島アントラーズを見てみる。元々住友金属鹿島という実業団チームだった鹿島にはトップスポンサーだけで13社、試合中にあるアドボードの数は40社ほどだろうか。市民クラブの代表格である清水エスパルスは70を越える。サポート企業や個人のパートナーとして出資しているものも数に入れるとその数は100に到達するだろう。もちろん規模は違うし、選手の数だって違うから異なっている部分もある。ではもっと掘り下げてみよう。

 敵対するbjリーグ琉球ゴールデンキングスのスポンサーはトップオフィシャルパートナーとして10社、小口のスポンサーも含めたオフィシャルパートナーとして91社、事業提携パートナーも含めると100を優に越える。もちろん数が全てではないし、それで結果が出なければ意味がない。だがどうだろうか。少なくとも鹿島は再び盛り返してきており、清水はギリギリのラインで一歩踏みとどまっている。もちろん、2年目に創設されたクラブにはできることは限られているはず。だからこそ、なぜもっとチームを保とうとする努力をしなかったのだろうか。結局はファンをないがしろにしてきた全ての行いへの天罰と思っても、不思議ではない。

 ファンをないがしろにし、選手をないがしろにするチームは潰れる。それは2004年の近鉄、1998年の横浜フリューゲルス。時代の変化とともに、スポーツの試合はただの試合ではなくなった。大きな一大イベント、興業となっていった。どんなに面白い興業でも、観客が入らない試合に意味はない。ジャイアンツは300万人を動員した。72試合を主催試合とすると、1試合平均約42000人は動員しなければならない。つくばロボッツはどうだろうか。昨シーズンの1試合平均を見てみると234人。スポンサー、ファンサービス、魅力あふれるコンテンツの提供。選手たちのプレー外を支えねばならない経営陣の意識の低さも、この現状を表しているのかもしれない。

※今回は読売ジャイアンツ鹿島アントラーズ清水エスパルス琉球ゴールデンキングス、そしてつくばロボッツの公式サイトに記載されたパートナーズ情報と公式サイトの更新情報より一部参考にした。