殴るぞ

色々と思いっきり話します。

ルイス・ネリーが罪を償うことは当たり前ですが、その前にロレンソ・パーラとかリボリオ・ソリスとかがいたことを思いだしてあげてはくれませんか?

「山中慎介」の画像検索結果

 ルイス・ネリーの王座はく奪を見て、ここまでやりたい放題できるような環境にボクシングがなっている事はとても驚いた。彼がどのようなサスペンドを受け、そして帝拳がどのような契約書を彼ら陣営と結んだのかは分からない。だが、1年前メキシコの有望株として将来を期待されていた彼の姿は何処にもない。
 どうやらメキシコでは女性問題で世間を騒がせ、ドーピングの問題でも評価を下げている。WBCに本部を置くメキシコがいくら庇護したとしても、おおよそ庇いきれないくらい、ネリーは堕落しきっていると言って良いだろう。よしんば、彼がこの試合で勝利したとして。彼が日本で何かを得てメキシコへと帰ることは有り得ない。
 ここまでくると悪役としては清々しいくらい素晴らしいレベルだが、彼がボクシングで何を目指していたのか。メキシコ最大手のサンフェル・プロモーションズとの契約、恐らく30万ドル以上はあるであろうファイトマネー。17歳から「金のため」とリングに上がっていたネリーはドラッグなどをやっていた非行少年でもあったという。
 ともかく、23歳にして世界王者となってしまった彼は、まだまだ心は王者でなかったと言うことなのかもしれない。しばしばトレーナーとの約束を破る、と言うこともあったようだ。
 何もネリーだけではない。自らの不摂生により栄光から転げ落ちていったボクサーはごまんといるのだ。

ロレンソ・パーラ

 日本でもなじみ深いロレンソ・パーラは、坂田健史と拳を3度交えていることでも知られるWBA世界フライ級王者である。攻撃と防御が一体化したボクシングは非常に美しく、フランスでは村田諒太並に持て囃されていたと言われるブライス・アスロウム相手にほぼ完封した試合は大変評価が高い。

 ただ試合毎に波のある選手であることでも知られ、セレスティーノ・カバジェロとの対戦やホルヘ・アルセとの激闘で知られる一方、アンセルモ・モレノ戦や坂田第3戦目のように全く良いところを見せられずに敗戦を重ねる選手としても知られていた。

 そして、先述の第3戦目。彼はボクシングの世界タイトルマッチであるまじき失態を犯す。2.7kgの計量オーバー。ひざの手術の後とはいえ、減量に苦しんだと言う様子もなく、あっさりとWBAタイトルを手放してしまい、加えて無気力試合をしてしまう。結果は自ら棄権を申し入れて3ラウンド14秒TKO負け。それ以降、世界タイトルに手を掛けるところまでは行ったものの、一度もタイトルを獲得することなく、41歳になる現在も現役を続けている。

 現在の近況は公式戦7連敗中で、引退ごとに階級を上げている状況である。ちなみに、坂田3戦目でパーラはファイトマネーを35%カットされたとのことだ。恐らく今回のネリーにも同じような状況があるとは考えられるのだが、帝拳は粟生対ベルトランという前科があるために何とも言えない。

◆リボリオ・ソリス

 パーラと出身が同じベネズエラのソリスは、山中慎介とも対戦経験のある非常にエキサイティングな戦いを見せるファイターだ。かつてWBA世界スーパーフライ級暫定王者を持っていたが、王座統一戦で正規王者の河野公平からWBAタイトルを吸収した非常に実力のある選手である。

 一方で、スーパーフライ級の体重が合わないことは話題となっており、河野戦でもタイトルマッチが危ういのでは?という話が出ていない訳ではなかった。結果として河野戦は何の問題もなかったわけだが、それが顕在化してしまったのはIBF王者の亀田大毅と対決した2013年12月だった。これは「負けても王座保持問題」という問題となり大騒動になったわけだが、そもそもは体重超過という契約書通りに体重を仕上げてこなかったソリスに非があるのは事実だろう。

 その後ソリスは階級を上げて山中やジェイミー・マクドネルといった世界王者に挑戦をしているが、いずれも敗戦している。この際にもソリスはWBAからファイトマネーを35%カットされてサスペンドを受けている。

 悲しいかな、階級を上げるための口実として体重超過を起こすボクサーは大変多くなっているのは事実だ。単純に目立ちたいから、と言うのもあるようだが、そもそものルールを守れていないと言うことの自覚にいささか欠けていると、私は感じる。

マニー・パッキャオ

 これは意外に思われるかもしれないが、フィリピンの英雄であるパックマンことマニー・パッキャオもかつて体重超過を起こしたという事実がある。パックマンミンダナオ島出身の貧しい人間で路上生活を経験したことがあるようだが、後にWBC世界フライ級王者となると、生活も環境も何もかも変わり不摂生で自堕落な生活になってしまったのだという。

 かつてジョー小泉氏がプロモートしようとしたとのことだが、時間にルーズなうえに夜な夜な遊び呆けていたと言うのは有名な話だった事もあり、結局彼がパックマンを見るということはなかった。その後の経歴については言わずもがな。

 フレディ・ローチのもとで攻撃力と踏み込みを活かした爆発的でエキサイティングなボクシングで世界を席巻し、アメリカの英雄こと、オスカー・デ・ラ・ホーヤをはじめとする多くのボクサーを倒したことでも知られる。

 その一方で、税金滞納問題などをはじめとする金銭トラブル、2011年頃からのギャンブルや飲酒、浮気癖のスキャンダルが多発したこともあった。栄華を極めてしまうと、何を求めれば良いのかわからなくなることは往々にしてあること。結果としてパックマンの衰えもあり、2011年以降は彼らしいボクシングを見ることは少なくなっている。

◆問題なのは選手たちを裁くには選手たちもプロモーターも力が強過ぎること

 確かにビジネスやらルールにのっとってやるのだから、ボクシングという競技をやっている以上はルールを守るべきである。というのは正しい。

 とはいえ、そもそも相手を死に至らしめることだってあるボクシングで、そんなルール関係ないと破る人がいることは一定数いる。そして、破ったとしても明確なサスペンドを下す公式な場所は世界中探しても何処にも存在しないということを充分に理解したうえでやったほうが良いだろう。

 そして、今それを抑え込もうとしたところで、誰も裁く人間がいないのが実情だ。そうなるには個人もプロモーターもあまりにも権力を持ち過ぎてしまった。今、ボクシング界でネリーを裁ける場所は何処にもない。だが、今のままで良いはずもない。唯一対抗し得るのは契約書だけなのだ。

 そして、この試合に価値があるかどうかも、我々が決めるべきではないのかもしれない。

■お知らせ■

LINE@登録者には、限定でブログとウェブサイトの更新情報の配信を行っております。 また、ご意見ご感想も承っております。出来る限り丁寧にお返事も書いていきたいと思っておりますので、是非ご登録いただければ幸いです。

 友だち追加