殴るぞ

色々と思いっきり話します。

村田諒太が世界王者になることができた3つの理由

 私は何度も、村田諒太は世界王者になることができないと述べてきた。それを見事に打ち破ったことについて、今さらここで述べることでもないだろう。WBA世界ミドル級のタイトルを獲得することができたのは、決して偶然でもなければ奇跡でもない。当たり前だろう。あの「疑惑の判定」によって敗れ去ったアッサン・エンダムから今度は明確な形で勝利を収めることができたのだから。

 2015年の7月に考えていた試合で、5月にエンダムと対決するまで。村田諒太が積み上げてきたキャリアはあまりにも薄っぺらいものに感じられたほどだった。ロンドンオリンピック金メダリストの称号の割に合わないものに思えた。

 それを村田はエンダムに「ほぼ勝利」という結果で私の考えを覆して見せた。そして、そのエンダムという負けられない相手をねじ伏せてミドル級のタイトルを獲得するに至ったのだ(ちなみに、前回とは違いリングアナウンサーが「本物の」リングアナであったことも見逃せない)。

 村田は結果で見せた。ボクシングを始めとしたスポーツ選手と言うのはこうでなければならない。結果で私のような人を黙らせることは痛快なはずだ。それでいいのである。プロスポーツとはそうでなければいけない。

 さて、スポーツナビがブログサービスを終了させるということ。これは私の耳にも入っている。最後に村田諒太が世界王者になることができた3つの理由を記載したいと思う(今後のブログ移転については、別途お知らせしたいと思う)。

■パワーとタフさは、村田を支える最大のアドバンテージだった。

 エンダム相手に対して気を付けなければならなかったのは、ある種の「執念深さ」であったことは言うまでも無い。実力は凡庸なのだろう。だが倒れても立ち上がり、決して屈することなく打ち返してくる。

 その驚異的な回復力を上回るために村田が導き出した答えは、多少の被弾を受けてでも相手に圧力をかけてダメージを与えることだった。元々、村田という選手はインファイトを得意とするファイタータイプの選手である。これはアマチュア時代から一貫したスタイルでもあるわけだ。

 なおかつ、培ってきたパワーとそれを追い詰める圧力。そこから導き出した答えはボディーブローだった。闇雲にダウンを奪って空回りするのではなく、着実に相手へとダメージを与えることを選択した。村田が世界王者になることができた理由の一つが、この選択にある。

 ボディーを打つことで相手を止め、確実に仕留めやすくするという選択は大変適切だったように思える。

村田諒太に欠けていたのはたった一つ。「野心」だった。

 前回、村田はエンダムに対して対決したわけだが「WBAの正規王者決定戦」である以上にエンダムがWBA暫定王者であったこと。これも決して忘れてはならない。つまり、最初から立場的にはエンダムの方が上だったということである。敢えて敗因を挙げるとするならば、村田には「倒しきる」という気概と野心が無かったように思える。

 だが、今回の村田は違った。エンダムに対して激しくタフに戦い、そして最後は倒しきってみせたのだ(実際は棄権TKOだったわけだが)。実はこれが非常にリスキーなものであることをご理解いただけることだろう。

 当然明確に倒しきって勝つ戦いをするということは、それだけ自らの身をさらすというリスクを負う。いくら村田にパワーがあれど、エンダムが明確に逃げてしまえば仕留めるチャンスすら失う。ラッキーパンチでもカウンターを食らえば大変だ。それでもその選択を正しいものとするために、村田はリスクを負った。それは、自らのタフさを信じていたからなのかもしれない。

 最後に後押ししたのは、やはり村田自身の「野心」だったのかもしれない。これが理由の二つ目である。

■さらに大きな舞台を渇望した、村田諒太の夢。

「皆さんも知っての通り、自分より強い世界チャンピオンが居ます。そこまで追いつけるように頑張っていくつもりです」

 村田はインタビューでこのように語った。名前こそ出さなかったが、彼が目指しているのはゲンナジー・ゴロフキンだろう。言わずと知れたミドル級最強王者であるが、彼も35になる。サウル・アルバレスとの対決では負けるのではないかと言われたほどだった。もちろんカネロがすごかったというのもあるだろうが。

 大きな夢を持つことは素晴らしい。だが、そのためにはさらに研鑽を積むべきであると思う。多くのランカーは村田が持つWBAの黒いベルトを狙ってくるだろう。その中には、ホープや元王者など多くいるに違いない。今まで以上に厳しい戦いが待っていることは明白だ。

 だが「夢」は人を大きく動かす。これも「野心」と言えばそうなのかもしれないが。素晴らしい舞台や環境で戦うべきだと私は思う。ただ王者だけで終わらない「夢」を追うのは、才と実績がある者の特権である。それを証明した男にふさわしい舞台で戦ってくれることを祈って、このブログの締めの文としよう。

 村田が見せた予想のどんでん返し。大変素晴らしく、そして嬉しく思う。

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