殴るぞ

色々と思いっきり話します。

村田諒太に今必要な3つの「技術」

 村田諒太の「不可解な」敗戦から早くも2日経つが、八重樫東の敗戦は正直予想外だったとしても概ねボクシングを楽しむことができた土日だったのではないだろうか。土曜日はいささか興行に拙さが見られたようだが、いずれにしてもボクシングを盛り上げていくためには世界王者を始めとして各ジムが頑張らねばならないのは事実。

 そういう点で、現在の世界王者の分布は非常に好ましい。ある意味で「既得権益」の壁に風穴を空けたのが八重樫東だっただけに、彼の敗戦は残念だったわけだが。いずれにしても、井上尚弥は近いうちに海外へと進むだろう。比嘉は今のボクサーにはない野性味を感じる選手だ。井岡との統一戦をやるとしたら、お互いに異なる選手であるがゆえに非常に楽しみなカードになると言える。

 さて、今回は連続で村田諒太について書こうと思う。端的に言えば、この敗戦は痛すぎる。ダイレクトリマッチを本田会長が反故にすることがあれば、再び同じような不可解な判定が下されても何ら不思議ではないと思う。本来、そんなことは当然あってはならないのだが。

 村田諒太に今必要なものを、今日はさらに掘り下げていければと思う。

■欠けていた「仕留め切る」技術

 エンダム戦では、何度も倒すチャンスがあった。というのが個人的な認識だ。そんな彼が仕留められるチャンスをみすみす逃したのは別にメンタルでもなんでもない。仕留め切る技術が足らなかっただけだ。

 技術といっても色々ある。メンタリティー、パンチの当て方。アウトボクシングフロイド・メイウェザー・ジュニアを思い出してみよう。メイウェザーはおそらく、ボクシング史上に残る最高のテクニシャンと言える。なぜなら、すべてにおいて何の問題もなく戦える技術を持っていたからだ。フィジカルに、ディフェンス技術。アウトボクシングの技術を見させたら、最高の選手と言えるだろう。

 日本人で表現するならば、断然内山高志だ。内山はパンチを出す技術が実に素晴らしい。ここぞという場面での連打と強打。世界タイトルに挑戦したファン・カルロス・サルガド戦では反射神経の鈍ったサルガドに12ラウンドで容赦なく攻めたてた。最後TKOが決まった瞬間は、あれだけ冷静に戦う男が感情的なまでの一撃を振るうとは思わなかったほどだ。

 だがそれも、内山が持ち合わせていた技術。仕留め切るという点で関してならば、内山高志はまさしく歴代最高レベルだろう。村田はその技術を習得する必要があったとは言えないか。

■「リスクを負う覚悟をする」技術

 これは、今までのキャリアを通してみれば分かることだが、村田はここまでのキャリアで安全運転ばかりだったことが気がかりなのだ。例えば、井上尚弥が当時日本チャンピオンだった田口良一と対戦した時のような試合のように、どこかでリスクを背負う覚悟ができていなかったのではないか、と。

 三迫ジムはともかくとして、帝拳ジムはいささか村田を過保護に扱いすぎていたのではないだろうか。結果として大事な場面で「リスクを背負う覚悟」ができなかった。これは実戦でしか積み上げられない技術でもある。中途半端なランカーと戦うよりも、はるかに有益な方法を見いだせなかった部分に問題があったのではないだろうか。

 先ほど言った「仕留め切る」ためには自分もパンチを浴びるリスクが隣り合わせである。仮に仕留め切る技術があったとしても、やられてしまえば元も子もない。そのリスクを背負った上で仕留め切る技術を持ち合わせていたかどうか。恐らくだが、村田にはなかったのではないだろうか。

 リスクを回避しようと対策を練るのと、リスクに対して最初から逃げ回るのはまるで違う。もちろん相手が居るのがスポーツなのだから、同じ展開にはならないだろうが。確実に言えるのは、村田は技術を最初から持っていなかったのではないか。メンタリティーの問題とも思われそうだが、メンタリティーも立派な技術である。常に同じ精神状態で人は居られないのだから、それをしっかりと管理することは人間としての立派な技術だ。

■今のままでは伸びしろはない。だが、飛び抜けた才能がなくても世界を獲れるのがボクシングだ。

 不幸なことに、人間の才能には限界がある。どんなに村田が頑張ったとしても、セルヒオ・マルチネスのようにはなれないだろうし、フェリックス・トリニダードのような選手にはなれない。パーネル・ウィテカーのように華麗によける反射神経も持ち合わせてはいない。

 だが、たった一度の失敗でグローブに壁を吊るすなら。村田はそれまでの選手だったということだろう。それでも必死にボクサーは自らの可能性を信じて戦っている。そして、世界を獲ることができると証明してきた選手たちは実際に存在しているのだ。

 マーティン・カスティーリョに勝利した名城信男、テーパリット・ゴーキャットジムに勝利した河野公平。軽量級ばかりではないかと思うが、ライト級のアントニオ・デマルコや粟生隆寛に勝利したガマリエル・ディアスもその部類に入る。

 彼らにあったのは、絶対に世界チャンピオンになるという野心だったのではないだろうか。前回も言及したが、野心が欠ければ人から魅力は無くなる。村田には今、伸びしろはない。エンダムに勝利したとしても、カネロやゴロフキンと戦う姿すら浮かばない。

 エンダムに見せた可能性と今不足する技術。最後のピースは言うまでも無い。「野心を持ち続ける」技術である。

 仮に不公平な裁定だったとしても、リングはいつだってボクサーにとっては公平なのだ。

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